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好きのうち
おなまえは?
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エリちゃんを病院へ送り届けてから、今日は直帰だという苗字を連れて居酒屋に入った。
膝枕の貸しがある手前、断れない事につけこんで酒を飲ませる。
・・・で、ものの1時間でコイツの顔は真っ赤になった。
「・・・あつい。」
「おい、目が据わってるぞ。」
「・・・そういう相澤先生はザルなんですねぇ?」
「まぁな。」
「チッ・・・あーぁ、少しくらい取り乱してくれればいいのにっ・・・。」
そう言って新しいお酒に手を伸ばす苗字の手を軽く叩いて、そのお酒を奪う。
さすがにこれ以上飲ませる訳にはいない。
明らかに不服そうな顔をするソイツにそんな事を思いながら、その奪ったお酒を自分の胃に流し込んだ。
「ヒーローにお酒奪われたっ・・・!」
「飲みすぎだ、もう止めとけ。」
「いいじゃないですかぁ・・・!どうせ明日からも仕事に追われて行くんだからっ・・・。」
「だからだろ。・・・二日酔いで仕事にならなくなっても知らねぇぞ。」
「平気ですぅ。仕事場には相澤先生みたいにイチャモン付けてくる人いませんもーん。」
「そりゃ悪かったな。」
“水飲め。” と冷水の入ったグラスを渡そうとするが、相手はプイッと顔を背けて受け取らない。
まるで小学生みたいなその様子を可愛い奴だな、の一言で片付けられる俺もかなり酔っ払っているのかもしれない。
「おら、帰るぞ。」
「やだっ・・・!」
「嫌じゃねぇだろ。襲われてぇのかお前は。」
「相澤先生は優しいからそんなことしませーんッ。」
「はぁっ・・・せめて住所教えろっ・・・。」
「い、や、だ!」
そんな押し問答を20分も繰り返して、結局俺の元々住んでいた家へと連れていく。
学校の教師寮にほとんどの荷物を持っていったが、まぁベッドもあるし路上で寝るよりマシだろう。
そう思って酔っ払ったソイツをベッドに放り投げれば、相手は子供のようにクスクスと笑った。
「イレイザーもう1回っ!」
「やる訳ねーだろ。さっさと寝ろ。」
「ケチっ。」
「言ってろ。」
「あほっ!ばかっ!」
「語彙力が小学生だな。」
ベッドに寝ながら文句を言い続けるソイツを放置して洗面所に向かう。
とりあえず歯磨いて寝る。
そう思いながら着替えを済ませて部屋に戻れば、何故かソイツはグスグスと泣き始めていた。
「!?」
「ばかぁっ・・・。」
「何泣いてんだ・・・。」
「だってっ・・・相澤先生が優しくないぃっ・・・。」
「(今度は泣き上戸か・・・。)」
「ヒゲ似合わないしっ・・・優しくないしっ・・・せっかくの顔に傷つけるしっ・・・!」
「分かったから寝ろ、めんどくせぇ。」
「やだっ・・・!」
「嫌じゃねぇだろ、おら。」
むりやり布団を被せて寝かせようとしてみるが、それを全力で拒否するソイツに思わず息を吐く。
もうすぐ日付が変わる。
明日は学校も休みだし俺は寝坊してもいいが、コイツは仕事だろうから寝かせてやりたい。
「(なのに寝る気配がない・・・。)いっそのこと襲ってやるか、いい教訓になるだろ・・・。」
「!・・・襲う・・・?」
「・・・冗談だ。」
「合理的虚偽・・・?」
「あぁ、そうだな。」
「ふふっ・・・でも私、イレイザーヘッドさんになら襲われてもいいよっ・・・?」
「!何言ってーーー・・・!?」
チュッ・・・という軽い音がして、目を見開く。
それから離れていくソイツの顔をみれば、相手はニコニコ笑いながらベッドへと潜り込んだ。
「おやすみなさい、イレイザーヘッドさんっ。」
「っ・・・はぁっ・・・。」
スースー・・・と寝息を立て始める苗字はきっと明日には何も覚えていないんだろう。
それならこれくらいは許して欲しい。
そんな事を思いながら、眠るソイツの額に自分の唇を押し当てた。