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素敵な旦那様
おなまえは?
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中間テストの採点をギリギリまでしてから立ち上がれば、黄色い寝袋が転がっていることに気がつく。
周りを見れば他の先生達はいない。
だいぶ遅くまで掛かってしまったな…と反省しつつ近づけば、黄色いソレがゴロンっと転がって見知った顔が私を見上げてきた。
「終わったか。」
「先帰ってても良かったのに。」
「帰っても何もやる事ないからな。」
「だからってここで寝てなくても…。」
ゴソゴソ…と寝袋から出てから、ソレを丁寧に畳む消太さんに思わず苦笑いを漏らす。
私が居なかった時、この人がどんな生活をしていたのか想像するのも恐ろしい。
「さ、帰りましょ。」
「あぁ。」
「今日の演習試験、楽しそうだった。」
「ヒーロー基礎学、担当したくなったか?」
「ううん…さすがに私には荷が重い。」
「プロヒーローが何言ってんだ。」
荷物をまとめて校舎を出る。
そのまま校門を出てから、私はポケットから出された消太さんの手をギュッと握った。
「今日オールマイトさんに、若いからなんでも出来るって言われてね?」
「……。」
「いい加減、前線復帰もありかなぁって思ったんだけど…どう思う?」
「…それはお前が決めることだ、俺じゃない。」
「そーだね。」
「ただし前線復帰するなら怪我だけはするな。コッチの身が持たない。」
「それは、難しくない?」
「難しくないな、プロヒーローなら。」
そう言いながら少し意地悪な笑みをコチラに向けてくる消太さん。
生徒達が怖い、というのはきっとこういう意地悪い面を日々目の当たりにしているからだろう。
「なら消太さんも怪我しないでよ?」
「!」
「もう病院でミイラになってる消太さんなんて見たくないですからね。」
唇を尖らせながらそう呟けば、相手はフイッと不自然に視線を逸らす。
USJでヴィランからの襲撃を受けた彼が生徒達を守るためにボロボロになった日。
包帯まみれの彼を見て、私の心臓は止まりかけた。
「…はぁっ…。プロヒーローの妻なんて心臓が幾つあっても足りないなぁ…。」
「後悔してるのか?」
「え?」
「俺のとこに嫁いできて、後悔してるのか?」
「…してるかな、8割。」
「!おいーーーー。」
「なんてね。」
「縛るぞ。」
嘘をつかれて少し不機嫌そうに眉を寄せる消太さんにケラケラと笑う。
いつもは自分が生徒に嘘をつくんだから、私のことを注意することも出来ないだろう。
「これが本当の合理的虚偽。」
「どこに合理性があったのか知りてェな。」
「消太さんに私の大切さを知らせるための?」
「!…そんなのはいつも感じてる。」
“いつもありがとな、奥さん。” と呟いた彼は私にとって史上最高の旦那様です。
END
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