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可愛くない後輩の話
おなまえは?
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雄英を卒業してから3年が経った。
私は就職したサポート会社で、それはそれは充実した毎日を過ごしていた。
「苗字!お前の企画書見たぞっ!」
「え!本当ですか!」
「あぁ!さすがだって会議でも話題になってたし、今回のコンペお前かもな!」
「ちょ、期待させないでくださいよ!」
職場柄、割合的には男性の方が多い職場だけど女性に対する偏見や差別もない。
3年目になれば任される仕事も増えてきて、毎日が目まぐるしく過ぎていく。
そんな多忙な私の脳内では、あんなに濃かった学生時代の記憶すらも徐々に薄れだしていた。
「あ、そうだ!お前宛に依頼書来てたぞ!」
「へ・・・?」
「企画開発部のお前に修理の依頼なんて珍しいけど、相手が相手だからって。」
「相手・・・?」
「ほら、今話題になってるサイドキックだよ。名前なんだったかなぁっ・・・。」
ウンウンと頭を悩ませる上司に、自分でも心当たりが無いかと考えてみる。
・・・が、全く思い当たらない。
まぁとりあえず修理依頼書を見れば分かるだろう。
そう伝えようとした瞬間、オフィスの扉がガンッという凄い音を出しながら開けられた。
《!!》
「・・・よォ、クソ名前。」
「・・・・・・ば、爆豪っ・・・くん・・・?」
周りの同僚達は何が起きているのか分からず、彼を見つめたまま固まっている。
そんな同僚達の間を我が物顔で歩く彼の姿を見て、私の脳は高校時代の彼を記憶の中から引っ張り出してきた。
「ったく相変わらずマヌケ顔しやがって・・・元気だったかよ?」
「う、うんっ・・・ていうかここ会社だよっ・・・?」
「知るか。俺は約束通り迎えに来てやっただけだ。」
「む、かえっ・・・?」
記憶の中の彼よりも高い身長、大人びた顔立ち。
その姿から目が離せないでいる私を至極面白そうに見下ろす爆豪くん。
あぁ、この笑い方は変わらない。
おもちゃを見つけたかのようにギラリと光る赤い瞳に、私の脳内に警鐘が鳴り響いた。
「い、嫌な予感しかしないんだけどっ・・・。」
「嫌な予感・・・?イイ予感の間違いだろうが。」
「あ、待って言わないで。本当に聞いちゃダメな気がするから言わないでーーー。」
「るせぇ。」
耳を塞ごうとした手は爆豪くんに絡め取られて、近づいてくる赤い瞳。
また、キスされる。
そう思って目をつぶれば、柔らかいソレは私のおでこにチュッと落ちてきた。
「へっ・・・?」
「あ?口が良かったか?」
「!っ・・・ち、違うっ・・・///!」
「今日の夜、この3年間分をテメェにぶつけてやるから安心しろや。」
「なっ・・・。」
「あぁ・・・て事だからクソモブ共・・・コイツに手ェ出したらブッ殺すぞ。」
そう言ってオフィスの同僚達を睨みつけた爆豪くんに私はもう逃げられないのだな、と覚悟を決めました。
「・・・と、とりあえず苗字、寿退社は待ってくれ。」
「違う、先輩。そうじゃない。」
END
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