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HAPPY HALLOWEEN
おなまえは?
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(日向翔陽 × 同級生)
朝から色々な場所で甘い匂いがする。
まさか私が家で寝ている間に季節が2月まで進んでしまったのか…なんて考えて、今日がハロウィンである事を思い出した。
「(ハロウィンか…。)」
「あッ!!苗字ーッ!!」
「!…日向?」
「とりっくおわとりーと!!」
「……はい、よく言えました。」
ダダダダダッ…と走ってきた日向が珍しく英語なんて話すものだから、その頭を撫でてからポケットに入れていたチョコを差し出す。
すると相手はそれをポイッと口の中に入れてからモグモグと美味しそうに頬張った。
「(ヒヨコの餌付けみたいだな。)」
「苗字?俺の顔、なにかついてる?」
「…ついてる。」
「えぇっ!?」
「目と鼻と口が。」
「なッ…そんなの誰でも付いてるだろーッ!!」
頬を膨らませてプンスコと怒る日向にケラケラと笑って手を振る。
おそらく私のハロウィンはこれでおしまいだ。
私のクラスの友達はこういうものに乗らないタイプばかりだし、私も可愛がっている日向にお菓子をあげられたからもう満足だ。
「(あ、でも購買でチョコ買おう。日向見てたらなんか食べたくなっちゃった。)」
そんな事を考えながら過ぎていったお昼休み。
そこからいつも通りの午後を過ごし、夕方になってからは週に1回まわってくる図書委員会の仕事のため図書館で過ごしていた。
といっても放課後に図書館に来る人は少ない。
受験生である3年生がたまに来るけど、本の貸し借りだけだから滞在時間は短い。
だからこそ放課後に図書館で過ごす静かな時間は好きなのだが…今日はそうもいかないらしかった。
「苗字ッ!とりっくおわとりーと!!」
「…日向、図書館では静かにね。」
「あ、そーだった!!」
「…それから、私の記憶違いでなかったらお菓子は昼休みにあげたはずだけど?」
「あん時の分は貰った!けど今の分はまだだ!」
「……。(ハロウィンってそんなに何度も同じ人にくるものだったかな?)」
キラキラと輝かせた目を私に向ける日向は相も変わらず可愛らしい。
そんな可愛い彼におねだりされたのではむやみやたらに断る訳にもいかない訳で…。
仕方なくカバンから購買で買ったチョコを差し出せば日向は少し驚いたように目を見開いてから、それをぱくんっと口に入れた。
「まだ持ってたんだな!」
「うん。購買で買ったの。」
「…よし!飲み込んだ!美味かった!!」
「それは良かった。」
「じゃあ苗字!とりっくおわとりーと!!」
「……え?」
「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!」
ニヒヒと笑いながら再び手を差し出してくる日向にポカンと口を開けて固まる。
今さっき同じやり取りをした気がしたのは私の気の所為なのだろうか…?
今日の日向はお腹の減り具合が異常とか?
そんな事を考えながら鞄を漁ってみれば、昨日たまたま友達から貰った飴玉を見つけることが出来た。
「これで本当に最後だからね?」
「飴…?」
「飴。」
「…これはポケットにしまいます!」
「え、なんで?」
「後で食べるから!」
そう言って飴を本当にポケットへとしまう日向に何となく嫌な予感がして立ち上がる。
仕事をするふりでもして逃げよう。
そう思って足を一歩踏み出そうとした私の手を、日向の意外と大きな手が掴んだ。
「まだ終わってないからストップ!!」
「ひ、日向…?私もうお菓子持ってないよ?」
「知ってる!!」
「えぇ…。」
「だから、とりっくおわとりーと!!」
おそらく今日一番であろう笑顔を添えて差し出される見慣れた手。
なるほど…、彼は最初からお菓子を狙っていた訳ではなかったのか。
だからこんな何度も言っているのか…と理解して首を振れば、相手はその笑みを一段と深めた。
「なら悪戯だ!」
「くすぐるのとかは無しね?」
「大丈夫大丈夫!だからこっち来て!」
「ええ…?仕方ないなぁ…。」
クイクイと手を引かれ、仕方なく日向の前まで身体を近づける。
この距離の近さからいってデコピンとかだろうか?
そう思って立ち止まった私の身体に、日向の腕がギュウッと巻きついた。
「え…?」
「苗字、柔らけー。」
「ひ、日向ッ…?」
「いつも俺のこと可愛がってくれるお返し!」
「ッ……!?」
「俺、苗字の匂い好きだなぁ。ずっとずっと俺の腕の中にいてくれればいいのに…。」
“欲張りかな?” と首を傾げる日向と、そんな問いかけにも答えられないくらい混乱している私。
そんな2人だけの空間は日向を探しに来た影山君が図書館に来るまで続きました。
HAPPY HALLOWEEN 日向翔陽ver.