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HAPPY HALLOWEEN
おなまえは?
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(影山飛雄 × 年上彼女)
「かっげやま〜!」
「スガさん…?」
「今日は何の日でしょう!?」
「……スガさん誕生日ですか?」
「違ぇわ!ハロウィンだよ!ハロウィン!!」
“年に1回どんな悪戯をしてる許される日!”
そう言って笑うスガさんにハロウィンとはそんな危ない日だっただろうかと首を傾げる。
ずっとバレーボールばかりで季節のイベントなどしてこなかった俺の勘違いだろうか…?
そんなことを考えながら歩いていれば、スガさんがニッコリと笑いながら小さなチョコレートを差し出してきた。
「影山にはコレな!」
「…あざス。」
「いやいや、食べちゃダメだから。」
「……?」
「これは影山を守る大切なお守り。苗字がよく分からん英語言ってきたらこれ渡せばいいから!」
そう言ってさっさと居なくなってしまうスガさんを見送ってからチョコレートを鞄に入れる。
よく分からないが、苗字先輩に会ったらコレを渡せばいいのだろう。
お守り、という意味が分からなかったが…スガさんは優しいから信用できる。
「(あとよく分からない英語って何だ…?)」
「あ、飛雄おはよー?」
「苗字先輩、おはようございます。」
「ふふ、相変わらず律儀だねぇ。付き合ってるんだから敬語じゃなくてもいいんだよ?」
「あ…。」
「あー、でも無理に変えなくてもいいよ。そういうピュアな所も好きだから。」
そう言ってクスクスと笑う苗字先輩は俗に言うビッチだと誰かが言っていた。
ビッチとは、男好きという意味だと先輩達が教えてくれたが俺にはそんな風には見えなかった。
「今日寒いねー。そろそろ手袋必要かな?」
「あ、俺のマフラー付けますか?」
「え、ううん!大丈夫!」
「いいっすよ。部活終わりで身体温まってるし、先輩が付けてくれたら荷物減ります。」
鞄にしまっていたマフラーを取り出して遠慮する苗字先輩の首にクルクルと巻き付ける。
その間も恥ずかしがって下を向く苗字先輩の目をその長いまつ毛がシャットアウトしていて、なんだか少しもどかしい。
何とかあの綺麗な目に俺を映したい。
ついそんな願望が湧いて出て、さっきスガさんに貰ったチョコレートを彼女の前へと差し出した。
「これ、どうぞ。」
「!…チョコレート?」
「スガさんがお守りにって。苗字先輩になんか言われたらあげればいいって。」
「あはは、なるほどね。」
クスクスと肩を揺らして笑う苗字先輩に何がおかしいのかと首を傾げてみる。
すると先輩は俺を見つめて、そのぷっくりとした唇をゆっくりと動かした。
「Trick or Treat 、私にお菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ?」
「!……ど、どうぞ。」
「ありがとう、嬉しい。」
差し出されたままだったチョコレートを受け取ってそのまま口に入れる先輩を見つめる。
その甘さに緩んだ口元には少しだけ溶けていたのだろうチョコレートが付いていて、それが酷く美味しそうに見えた。
「今、なんて言ったんですか?」
「え?あ、Trick or Treat ?」
「…とりっく おわ とりーと。」
「うん、そーそー。」
「もしお菓子が貰えなかったら、悪戯していいんですよね?」
「そーだね。」
「じゃあ、悪戯しますね。」
「えーーー…!?」
俺のマフラーに埋めようとしていた顔を両手で包んで、その美味しそうな唇をペロリと舐める。
チョコレートの味がいつもより甘く感じるのは気の所為だろうか…?
「と、飛雄ッ…?」
「チョコレート、甘いですね。」
「ッ……馬鹿ッ…!」
苗字先輩をビッチと呼んだ人達にこの照れて真っ赤になった顔を見せてやりたい。
彼女は俺の一言一句に反応して、指先が触れるだけでその顔を真っ赤に染め上げる。
こんな彼女のどこが男好きだというのだろうか。
今まで恋愛なんてものに無頓着だった俺でさえ、彼女を自分の色に染めてみたいなんて心の中で思ってしまうのに。
「…やっぱり見せたくないです。」
「え?」
「その顔、他の奴には見せないでください。」
「み、見せるわけないでしょッ……!」
あのチョコレート、スガさんからもっと貰っておけばよかったな。
そんなことを考えながら彼女とゆっくり歩く秋の日も嫌いじゃない。
HAPPY HALLOWEEN 影山飛雄ver.