↓↓
HAPPY HALLOWEEN
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(菅原孝支 × 同級生の場合)
「終わったー…。」
持っていたシャーペンを置いて、長時間座っていたせいで固まった身体を伸ばす。
体調を崩して休んだ日に行われた小テスト。
受け直すことも出来ずに補講を言い渡され、それだけは御免だと頭を下げたら出された大量の課題。
それでも休みの日にまで学校に来て授業を受けるよりはマシだと必死に終わらせれば、外は既に夜になってしまっていた。
「あれ、誰かと思ったら苗字じゃん!」
「あ、スガだ。部活終わり?」
「そそ。忘れもんしたから取りに来た!」
「それはそれは、遅くまでお疲れ様だねー。」
「ハハッ!お前は俺の婆ちゃんかよ!」
そう言ってケタケタと笑うスガに笑い返してから荷物をまとめる。
さっきまでの疲労感なんて全部消えて、今は心も身体も雲のように軽い。
そんなふうに感じるのは私がもう1年以上も彼に片思いをしているからなのだろうけど、そんな言葉を口に出すことは出来ない。
ならせめて校門まで一緒に帰れたら…と思って立ち上がろうとすれば、そんな私の目の前の席に彼がドサリと腰を下ろした。
「やっぱいいよな窓際!俺も窓際が良かったわー。」
「あー、でも最近はすきま風あるから寒いよ。」
「あー確かに。でも俺の席よりはマシだべ?」
そう言って自分が普段座っている最前列の机を指さすスガにそれもそうだと笑う。
席替えをしたのはつい最近だし、恐らく今年中はこの席順だろう。
そんなことを言えば相手は心底嫌そうに眉を寄せながらブーブーと文句を言い並べた。
「(唇尖らせながら文句言ってる…相変わらずあざと可愛いなスガめ…。)」
「あ、そうだそうだ!」
「なに?」
「苗字 、Trick or Treatー!お菓子をくれなきゃ悪戯しちまうぞ!」
「!…あ、今日ハロウィンか。」
「そそ。て訳で、お菓子くれ。」
「カツアゲだ。」
「人聞き悪いこと言うなよー。」
両手を出してお菓子を要求するスガに仕方ないなとカバンの中からレモン味の飴を取り出す。
こんな事になるなら女子らしくキャラメルとか持っておけばよかった。
そんな事を考えながらスガの手の上にそれを乗せてあげれば、相手は包み紙を外してそのまま口の中へと放りこんだ。
「うま!部活終わりの糖分最高だわ!」
「お口にあったなら何よりです。」
「あー…でも俺お返しのお菓子持ってねぇや。」
自分の鞄をゴソゴソ漁りながらそんなことを呟くスガを見て私の中に僅かな悪戯心が湧き上がる。
自分でお菓子を持ってないと豪語しているし、悪戯するフリして彼の焦る顔でも見られたらいい。
そんな事を考えた私は、お菓子を持っていないことを謝罪するスガにニッコリと笑って口を開いた。
「スガ、Trick or Treaーーー…!?」
ハロウィン恒例の言葉を言い終わる前に掴まれた腕がグイッと引き寄せられる。
それに驚いて目を見開けば、そんな私の頬に片手を添えたスガの唇が私のソレにカプリと食いついた。
「ッ…!?!?」
驚いて声を上げようとする私の口の中にコロンと入り込んできたレモンの味。
そのまま置き土産のようにペロリと舐められた唇に身体を跳ねさせれば、私から手を離したスガがニヤリと笑って私の頬を撫で上げた。
「俺、お菓子より悪戯派なんだよね!」
「はッ……はぁッ!?」
「さ、帰んべー。あ、ついでだから苗字の家まで送ってやるよ。」
「ちょ、待ってスガーーー。」
「放課後彼女と手繋いで帰るとか実はめちゃくちゃ憧れてたんだよなー、俺。」
“本当、忘れ物してよかったわ!” と笑うスガに引っ張られて教室を出る。
未だに混乱している私の手を引いて歩くスガは何故だかとてもご機嫌で、珍しく鼻歌まで歌っていた。
「ス、スガ!」
「んー?」
「これッ…どういう状況ッ…!?」
「状況…?そりゃあ、可愛い子羊役の苗字が羊の皮を被った狼役の俺にまんまと嵌められてこれから美味しく食われる状況?」
そう言って笑ったスガの表情は可愛いと言うよりもカッコイイに近かった。
HAPPY HALLOWEEN 菅原孝支ver.