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自分勝手
おなまえは?
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懺罪宮の近くですれ違った夜一さんは顔こそ笑っていたが、明らかに焦りの色が見て取れた。
肩に担いでいたのは気を失っているであろう一護だけで、岩鷲や花太郎の姿はない。
だからこそ、せめて彼女達が逃げる時間をかせごうと刀を抜いて彼らの前に立った。
「(のに、この人の存在に気づかないとか…周り見えて無さすぎだな私。)」
「んー?そんな可愛い顔して見つめても斬魄刀は返してあげないよ?」
「おい春水、名前なら俺が(抱えて)連れて行くお前は自隊に戻れ。」
「ダメだよ浮竹。俺が捕まえたんだから俺が(抱っこして)連れていく。」
「そもそも抱えなくていいから。歩けるから私。」
そう言って伸びてきた手を避ければ反対側にいた十四郎さんの手に捕まる。
朽木家の白哉坊っちゃまは呆れていなくなってしまったし、夜一さん達を逃すという当初の目的は果たしたからいいけど…。
正直、めんどくさい人たちに捕まってしまったと心から思う。
「あ、あのッ…。」
「!…貴方が、朽木ルキアちゃん?」
「は、はい…。」
怯えたような声がして振り向けば白い着物を着た女の子が座り込んでいた。
おそらく私たちの霊圧にやられたのだろう、その身体は未だにカタカタと震えていた。
「あ、の…一護はッ…!?」
「…逃げたよ、大丈夫。」
「ッ…お願いします!!一護達をッ…彼らを連れて逃げてくださいッ…!!」
「朽木…。」
「お願いします浮竹隊長ッ…!この方とお知り合いなんですよね!?ならーーー。」
「自分勝手だね。」
《!》
ポツリと呟いたその言葉に周りの空気が固まる。
十四郎さんも、春水さんも、ルキアちゃんも。
いつの間にか現れた十四郎さんの部下っぽい子達も…驚いたように目を見開いて私を見ている。
その視線に気がついて初めて自分の声が冷たかったのだと自覚した。
「…ごめんね、言い方が悪かった。」
「えッ…?」
「それは出来ないよ。私には私のやる事があってここに居るから。それに、一護は止まらないよ。…それくらいの覚悟で来てるから。」
「で、でもーーー。」
「いい事教えてあげようか。」
「!」
「一護は強いよ。」
ニッコリ笑ってルキアちゃんの頭を撫でる。
それから踵を返して歩き出せばクスクスと笑っていた春水さんが相変わらず掴みどころのない笑顔のまま私の後をついてきた。
その手には人質代わりの玉藻前が握られているし、このまま捕まるしかないだろう。
「相変わらずだねぇ。」
「それはこっちのセリフです。」
「…心配、してたんだよ。」
「……。」
「浮竹も後始末を終えたら来るだろうし、それまではゆっくりお茶でもしようか。」
私の横まで歩いてきた春水さんがそう言ってニッコリと笑う。
この人から逃げるのは一筋縄ではいかないだろう。
そんなことを考えながら、その先を考えた私は大きなため息を漏らしてしまった。