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覚悟
おなまえは?
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一般人よりも大きい身体とは厄介だ。
怪我の面積も広いし、合わせて出血量も多くなる。
つまりデカい身体をした更木の応急処置を全て終わらせた頃にはサボっていた私の体力も限界を迎えていた。
「ッ…はぁっ……疲れたっ…。」
「ナマエちゃんッ…!!!」
「ごふっ……。」
一通り終わらせてその場に倒れこめば、そんな私の上にやちるちゃんが飛び乗ってくる。
もちろん本人には悪気なんてものはなくて。
だからこそ私は何も言えないまま、込み上げてきた吐き気を無理矢理腹の中へと押し込めた。
…にしても、さすがやちるちゃん。
まさか百年ぶりの挨拶で殺されそうになるとは思わなかったぜ。
「今までどこにいたの!?剣ちゃんもアタシもずっとずぅっとずぅぅっと待ってたんだよ!?」
「あはは…ご、ごめんね…?」
「ダメ!許さない!!」
「えぇー…金平糖あげてもダメ?」
「ダメ!!!」
金平糖でも許して貰えないなんて、やちるちゃんのお怒りはなかなか強いらしい。
そんなことを思いながらもう一度だけ一護とチャドくんの霊圧を探る。
チャドくんの霊圧は別の場所に移動中。
そして一護は私よりも先に駆けつけた夜一さんが保護をしてくれたらしく、双極下の空間へと移動を済ませていた。
「(さて…ここからどうするか…。)」
「ナマエちゃん…?」
回道を使ったことで敏感な人たちには私の存在が知れ渡ってしまったことだろう。
つまり私という存在はルキアちゃんを救う側から、護廷十三隊から逃げる側へと変化してしまった。
特に今頃驚いているであろう古株さん方は厄介だ。
「ナマエちゃんってば!!」
「痛ッ…!?」
「なんで無視するのッ!!」
「ご、ごめんね…少し考え事してたみたい。」
「ぷぅーッ!!」
昔のように私の膝をイス代わりにしたやちるちゃんの頬が風船のように膨らむ。
せっかく治りかけていた機嫌が悪くなってしまっては困るが、こんな見つかりやすい場所でダラダラとしているわけにもいかない。
そう考えて倒れている更木の方をもう一度見れば、その瞳がコチラを凝視していることに気がついた。
「げっ…。」
「……化けてでやがったか。」
「!剣ちゃんッ…!?」
「やちる…うるせぇから耳元で騒ぐな…。」
まるで安眠から無理矢理起こされた、みたいなトーンで話し出した更木にやちるちゃんが急いで駆け寄る。
そんな姿を見ながら立ち上がれば、その鋭い眼光がゆっくりと私を捉えて少しだけ細まった。
あぁ、このゾクゾクとする殺気も懐かしい。
なんて思えるのは、彼が未だ動くことが出来ずに倒れたままだから言えることなのだろう。
「応急処置はしました。後は貴方の大嫌いな四番隊にお世話になってください。」
「ハッ…まさか亡霊に助けられるとはな。」
「不満ですか?」
「まァな…。」
「……私は戦闘狂だろうとお礼も言えないクソ野郎だろうと目の前で死なれるのは嫌なんです。」
“貴方達の考えは昔から好きじゃありません。”
そう言って踵を返す。
そんな私を止めようとしたやちるちゃんを片手で制したのは意外にも死にかけの更木剣八だった。
「…用件が済んだら俺の所に来い。」
「……気が向いたら、行きます。」
…なんて軽口を残して、私はその場を後にした。