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空白の百年はあまりに長く
おなまえは?
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“大江三席、ご在室でしょうか?”
「…裏廷隊か。」
“はい。”
「…何かあったのならそのまま話してくれ。今は少し立て込んでいる。」
チラリと私を見てから言葉を続けた大江の横顔を息を殺して見つめる。
『大江三席』。
私が瀞霊廷にいた時代は十五席だったのに。
やはり百年という長い月日は私の知っている何もかもを変えてしまっているようだ。
“此度の伝令は山本総隊長、十番隊日番谷隊長からの一級厳令となっています。”
「隊長2人の一級厳令…?」
“今朝方…五番隊隊長、藍染惣右介様がお亡くなりになりました。”
「「!!」」
“死因は斬魄刀による鎖結及び魄睡の摘出、そして心部破壊とのことです。”
「つまり…何者かによる殺害って事か…。」
“現在、四番隊にて卯ノ花隊長が詳しい検死中です。
それに伴い五番隊の雛森副隊長が錯乱し三番隊市丸隊長を攻撃。仲裁に入った吉良副隊長と斬魄刀を使用しての戦闘へと発展。駆けつけた日番谷隊長によって両名は拘留措置となっています。”
裏廷隊のその言葉に大江が小さな舌打ちをこぼす。
一隊の隊長が何者かによって殺されて、副隊長が錯乱して仲間割れ。
そして結局は副隊長が2人まで拘留措置。
ただでさえ旅禍が侵入して慌ただしいのに…と私が大江の立場であっても同じように苛立ったに違いない。
“藍染隊長殺害の件については十番隊が調査を進めるとの事です。山本総隊長より大江三席へ、今後五番隊の指揮については大江三席に一任すると。”
「…分かった。とりあえず四番隊に顔出てから五番隊隊舎に向かう。五番隊の隊員は俺が行くまで隊舎待機を命じておいてくれ。」
“はい。”
タンッ…と軽い物音と共にいなくなった影を見送ってから小さく息を吐く。
恐らく市丸の言っていた会えなくなる理由、とはこの事だったのだろう。
鏡花水月を使えば自分の死体を作り出す事も可能。
本当に、相変わらず頭の回る男だ。
「…大丈夫ですか?」
「!…なにが?」
「藍染隊長のこと、まだ好きなんですよね?」
「あはは…まさか。私がいなくなってから何年経ってると思ってるんだよ。」
「…何年経っていても、好きなんですよね?」
「!」
「…とりあえず四番隊に行ってきます。もしかしたら何かの間違いかもしれませんし…。先輩は俺が戻ってくるまでここで大人しくしていてください。」
そう言って立ち上がる大江に小さくありがとうと呟けば、相手は少しだけ笑って私の頭を撫でる。
まるで、何もかもお見通しだと言われている気がして何だか気はずかしい。
「ちゃんと寝ててくださいね。」
「…ん。」
パタン…と閉じた障子を見つめ、再び息を吐く。
もう既に数箇所で始まっている、霊圧同士のぶつかり合い。
とりあえず、戻ろう。
そう考えてから、私は手元にあったお面を顔の前へと持っていった。