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まだ間に合うだろうか?
おなまえは?
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苗字 名前という女は、ひどく可哀想な女だと仲間達は口を揃えて言う。
貴族家系に生まれたとか、死神としての才能に恵まれているとか、容姿だって悪くないとか。
傍から見たら全てを持って生まれてきたみたいな女であるはずなのに。
「(俺たちから見たら、コイツほど可哀想な女はおらんねんなァ…。)」
恋人の裏切り。
それは彼女の人生を大きく変えた。
「…別にええやん、好きでも。」
「は…?」
「好きならしゃーないやろ。こればっかりは意図的に操作できるもんでもないしな。」
「で、でも藍染は敵ですっ…!」
「せやから…敵だからって嫌いになる必要はないやろって言ってんねや。」
「なに、言ってッ…。」
「好きやから、止めたいんやろ?」
「!」
「自分の大切な奴やから間違った道から引き戻したいんやろうが。」
“考えすぎなや、アホ。”
そう呟けば、彼女は目を閉じてまた俯く。
泣いている可愛い仲間を慰めるために来たのに、余計に泣かせてしまった。
ひよ里にでもバレたらまた顔面に蹴りが飛んでくるだろうか?
そんなことを考えながら、身体を震わせて涙を流す彼女の頭を優しく撫でる俺は案外良い男だと思う。
「しんじィ?」
「…なんやねん、白。」
「ひっどォい!せっかくご飯出来たよって呼びに来たのにィっ!!」
「!…あァ、もうそない時間か。」
「アホは放っておいたらええねん白。どうせまた昔のことでも考えとったんやろが。」
そう言って呆れ顔をするひよ里に誰がアホじゃボケェと怒りつつ重い腰を上げる。
苗字が尸魂界に向かって1日…。
アイツは藍染と再会できたのだろうか。
「(…なんて、さすがに過保護過ぎるか。)」
「…平気や。」
「は…?」
「よォ泣くし抜けとるし能天気やけど、名前はあれでも元副隊長やで?そない心配せんでもヘラヘラ笑って帰ってくるわ。」
「!……せやな。」
藍染惣右介という男に囚われて、その目から何度も涙を流していた彼女。
だけどそれは日を追う毎に減っていき、いつか彼女は俺たちに向かって笑ったのだ。
“あのバカ止められるのは私だけですから。”
なぁ、苗字。
こんなん言うたらお前がまた泣いてまう思て言えへんかったんやけどな…。
嘘で塗り固められた藍染惣右介が俺たちに唯一見せた本物の感情。
それは、苗字 名前という女性に向けられた純粋な愛情やと思うで。
せやから、頑張りや。
しんどくても耐えて、泣きたくても我慢せぇ。
藍染惣右介を止められるんは、お前だけや。
「(…て、送り出したら良かったなァ。ホンマ気のきかん男やわ、俺も。)」