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手のひらの上で踊る
おなまえは?
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「名前、明日からザエルアポロの研究を手伝うことにしたんだって?」
「!…さすが藍染様、お耳が早いことで。」
「ウルキオラから報告を受けてザエルアポロを呼び出したらそんな事を言っていたから、驚いたよ。」
そう言って私の体を後ろから抱きしめる惣右介に小さく息を吐く。
ここ虚夜宮は云わば藍染惣右介のための城だ。
この中での出来事は全てこの男の掌の上で、それは私とザエルアポロも例外ではない。
「(けど、この感じならザエルアポロも私との約束は守っているみたいだな…。)」
「…名前?」
「…暇つぶし。1日中何もしないでボーっとしてるよりマシだと思って。」
「研究の手伝いだからといって、僕以外の男が名前の身体に触れるのは気に入らないな。」
「その研究自体も藍染様の為のものだって私は聞いたけど?」
「今日は随分と言葉に刺があるね。何か嫌な事でもあったのかい?」
「別に、なんでもない。」
私の首筋に口付けを落としながら、惣右介が笑う。
不機嫌な私とは真逆で、今日の惣右介は随分と機嫌が良いらしい。
いつもなら勝手にザエルアポロと接触したことを怒りそうなものなのに…。
「…惣右介は何か良いことでもあったの?」
「それは、僕の機嫌が良く見えるということかい?」
「いつもよりはね。」
「…そうだね、あったといえばあったかな。」
「私には言えないこと?」
「言えなくはないが…それよりも僕はそろそろ名前と恋人らしい時間を過ごしたいね。」
「!」
くるりと身体の向きを変えられて、その優しい口付けが私の唇へと落ちてくる。
毎日毎日、これの繰り返し。
百年もの間待ち続けた男の欲求はちょっとやそっとの事じゃ治まらないらしい。
「あ…そういえばさ、ずっと疑問に思ってたこと聞いてもいい?」
「…今、かい?」
「うん、今。」
「…何かな?」
「惣右介、昔から一人称は“僕”だったのに最近たまに“私”って言うよね。…なんで?」
首を傾げながらそう呟けば惣右介の目が少しだけ驚いたように開いて、すぐ嬉しそうに緩まる。
私の疑問はそんなにも変だっただろうか?
そう思ってもう一度惣右介に同じ問いを投げかければ、相手はまた嬉しそう少しだけ笑った。
「別に大差はないよ。ただ、名前の前でだけ僕は何者でもない藍染惣右介になれるから…その名残かな。」
「…どういう意味?」
「分からなくていいよ。そういう鈍感なところも名前の魅力の一つだから。」
そう言って私をベッドへと押し倒す惣右介の顔が何処となく嬉しそうで、楽しそうで。
本人が気にしなくていいというのなら本当に気にしなくていいか…なんて心の中で呟いた。
「名前…愛してるよ。」
「ん…私も、愛してる。」
甘い甘い惣右介の毒は今日も静かに私を侵す。