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破面
おなまえは?
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“ 苗字 名前”。
この女が虚圏に来たとき、破面の中では様々な意見が飛び交っていた。
藍染様はあの女に騙されている、など。
藍染様があそこまで執着するほどの価値がある女なら丁重に扱うべき、など。
市丸ギンや東仙要の時とは違うその反応は全て、藍染様が我々に向けた言葉がきっかけだった。
「彼女は私の全てだ。例えどんな理由があろうとも傷つけることは許さないよ。」
《!!》
怪我をして気を失っている女の頬を撫でながら呟かれたその言葉と、僅かばかり垂れ流された藍染様の鋭い殺気。
その瞬間、あの考え無しのヤミーやノイトラですら理解していた。
この女は文字通り、“藍染様の全て”なのだと。
この女がどう振る舞おうが藍染様を騙していようが騙していまいが、そんな事は関係ない。
我々破面は、この女に手出しすることは出来ない。
それが全てなのだと。
「ウルキオラ、あっちは?」
「…あちらは別の十刃宮ですので。」
「あー…なら行かない方がいいのか。」
俺はノイトラやグリムジョーのように戦いを好むわけでも強さに飢えているわけでもない。
藍染様に反骨心を持つことも、それこそ盲目的に崇拝している訳でもない。
だからこそ、藍染様は俺にこの女の面倒を見させているのだろう。
「(ならば、その役目は全うせねばならない。)」
“そのためには面倒事に関わらないのが1番だ。”
そう心の中で呟いた刹那、目の前に現れたピンク色の髪に思わず眉を寄せる。
考え事をしていたぐらいでコイツの霊圧に気づかなかった俺の落ち度だ。
目の前に立つ女を自分の後ろへと誘導しながらそんな事を思い、つい小さく舌打ちが零れた。
「やぁ、ウルキオラ…と、まさか一緒にいるのは藍染様のお姫様かな?」
「ウルキオラ、誰?」
「…第8十刃のザエルアポロ・グランツです。」
「はじめまして、名前様。破面で科学者の、ザエルアポロと申します。」
「!…科学者?」
「えぇ。貴方のその首飾りも、藍染様から頂いた資料を元に僕が作りました。」
“調子はいかがですか?” といつもの薄気味悪い笑顔を浮かべるザエルアポロに俺の後ろで様子を見ていた女が不快そうに眉を寄せる。
ザエルアポロは計算高い男だ。
偶然出会った、みたいな顔をしているが…十中八九俺たちが出歩いていると知って待ち伏せでもしていたのだろう。
媚びを売りにきたのか、それとも別の何かか…。
どちらにせよコイツの話を聞く必要性はない。
「ザエルアポロ、この方への不必要な接触は避けるようにと藍染様から言われただろう。」
「あぁ、もちろん覚えているさ。」
「ならばーーーー。」
「だけど僕にはきちんとした理由がある。彼女の首のアレを調節しに来たんだ。」
「!」
「そういう訳ですから名前様、このまま僕の自宮へとお越しいただけますか?」
まるで獲物を誘い込むような優しい音色で囁かれたその言葉に、この時ばかりは俺も苛立ちを隠すことが出来なかった。