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その役目を担うのは
おなまえは?
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市丸ギンという男は出会った時から既にどこか不思議な雰囲気を纏っていた。
「市丸 ギンいいます。」
「綺麗な髪色してるね。」
「よォ言われます。」
こちらを見て愛想良くニコリと笑うその子の目はどこか冷たくて、どこか儚い。
まるで何かをひた隠しているかのようなその姿に、出会ったばかりの惣右介を思い出した。
「そっか。何かあったら私のことも頼ってね?」
「!…ええの?」
「もちろん。隊は違くても後輩だし、藍染副隊長の部下は私の部下みたいなものだしね?」
類は友を呼ぶ、とはこの事なのだろうか。
そう思って惣右介を見れば、何やら愉快そうに小さなその子を見つめている。
どうやら惣右介がこの天才君を可愛がっているという噂は本当だったようだ。
「ギン。」
「あれ、名前さんや。まだお仕事中やろ?こんな時間にどないしたん?」
「惣右介から、ギンが隊舎から出ていったきり戻らないから探してくれって連絡きたの。」
「藍染はん、怒っとった?」
「んー…怒ってはないと思うけど心配はしてたよ。」
「心配…?藍染はんが?」
「うん。惣右介ってばギンの事すごく気に入ってるみたいだからね。」
「そら嬉しいわァ。」
まるで何の感情も乗っていないような、冷たい声。
きっとこの子は藍染惣右介の事をそこまで好きではないのだろう。
そして惣右介自身もそれを十分理解した上で傍に置いている。
そんな歪な2人の関係性を私は疑問に思いこそすれ、どうにかしようとは思わなかった。
「名前、良い子にしてたかい?」
「!…おかえりなさい。」
「今日も食事を摂らなかったと聞いたよ。世話役を困らせたらダメじゃないか。」
「世話役の子は私のこと嫌いみたいだし、食事摂らないのも喜ぶんじゃない?弱っていく私を見れるし。」
「どうだろうね。けど、本当に名前が弱り始めたらどんな手を使っても栄養を身体に入れさせるよ。食事以外でも栄養は取れるからね。」
例えば、と聞く気にはならなかった。
惣右介の考えは時々、私の想像なんか遥かに超えてくるから。
とりあえず明日からは食事を摂るべきだ。
そう思いながら落ちてきた唇を自分のソレで受け止めて、目を閉じる。
市丸は明日も来るだろうか。
来たら今日落としていった質問に答えてあげよう。
「名前…?」
「惣右介、もし死ぬなら私の手で死んで。」
「!」
「それまでは死なないで。他の人にこの心臓も身体も触らせないで。」
「…随分と可愛らしいことを言うんだね?一体どんな心境の変化かな?」
「別に、何となく思っただけ。」
夜の闇に包まれて、私も重い瞼を閉じる。
そのもしもは、いつか必ず訪れる。
ならばそれまで時が来るのを待てば良い。
重なった手のひらに力を込めて、皮膚越しにドクドクと脈打つソレに安堵の息をこぼす。
今日も生きているこの人の心臓を、いつか止めるのは私だと決意した。
続
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