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幕間
おなまえは?
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目の前に差し出された斬魄刀に、俺と春水は顔を見合わせコクリと頷く。
「確かに…これは名前ちゃんの斬魄刀だね。」
「ならーーー。」
「しかし我々にも彼女が斬魄刀を置いていった理由までは分からないな。」
「浮竹隊長でも分からないのですかッ…?」
「あぁ…。でも名前のことだからね、たぶん何かしらの意味はあると思うよ。」
そう呟いて旅禍の子達に彼女の斬魄刀を返す。
本来ならば朽木を助けてもらった恩もあるし何かしらの手助けはしてあげたいが…今回に関しては皆目見当もつかない。
ただ、名前は天才と呼ばれた優秀な死神だ。
なんの理由もなく自身の斬魄刀を手放す訳が無い。
自分が藍染に連れていかれると分かっていたのならば尚更だ。
「名前さん、本当に無事なのかなッ…?」
「井上さん…。」
「だってあの藍染って人…他の隊長さんを一瞬で倒してた、から…。それに怪我も…。」
「心配しなさんな。名前ちゃんなら無事だよ。」
《!》
「彼はね、昔から読めない子だったけど… 名前ちゃんだけは大切にしていたから。」
「大切にッ…?」
「そうだな。本来ならば名前に怪我を負わせること自体藍染にとっては不本意だったはずだ。」
それは、藍染惣右介という男と苗字 名前という女の関係性を知っている者ならば周知の事実だった。
俺たちに見せていた偽りの姿。
そして今回、双極で見せた本当の姿。
全てが正反対ともとれる行動の中で、彼女に向ける視線だけは変わらなかった。
あの場で、その事実に気が付いたのは俺や春水だけでは無いだろう。
「反膜を彼女に使った時点で、藍染が未だ名前に執着しているのは明らかだ。そして昔から名前に対してだけは過保護な所があった。」
「きっとどんな手を使っても名前ちゃんを死なせることは無いと思うよ。例え自分自身が彼女に殺されそうになっても、ね。」
「……何故、藍染惣右介はそこまで名前さんに執着しているんですか?」
眼鏡をかけた旅禍の少年がふと口にした疑問に思わず口を噤む。
それは俺や春水…そして他の誰もが考えてみても分からない疑問だった。
出会いは真央霊術院。
同じ特進科で天才と呼ばれた2人。
心惹かれあい恋仲になり、その繋がりは彼女が居なくなるまでずっと続いていた。
「…多分だが、執着しているのは何も藍染だけじゃないのかもな。」
「え?」
「藍染と名前はお互いに同じだけ相手を求めているんだと思う。求めて、与えて、そしてすれ違った。」
「無理矢理にでも言葉にするなら、共依存って言葉が一番似合うんじゃないかなぁ…あの子達にはさ。」
春水のその呟きに、旅禍の少年たちは眉を寄せ各々が何かを考えるように口を閉じる。
人間としての人生は短い。
長くても70.80年という人生で、藍染と名前のように求め合う相手と出逢う確率は決して高くはないだろう。
「まるでロミオとジュリエットだよ、あの2人は。」
昔彼女が読んでいた現世の戯曲を思い出して、その名前を口に出す。
できることならあの物語の様な結末を迎えないようにと願うことしか、今の自分たちには出来なかった。