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守りきれなかったもの
おなまえは?
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ドンッ…と蹴られた衝撃に、一瞬何が起きたのか分からず自分の目を見開く。
「なッ…!?」
「ッ…ごめ、雨竜君ッ…。」
“強く蹴りすぎた。” と彼女の口が動き、よろめいた僕の身体を後ろいたチャド君が支えてくれる。
その瞬間、彼女を囲むように落ちてきた光を見て自分はまた助けられたのだと理解出来た。
「なんじゃこんなものーーー。」
「やめい…!!」
「!」
「これは反膜(ネガシオン)と言うてな。大虚が同族を助けるために出す光線じゃ。大虚級と戦うた事のある者なら知っておると思うが…光線の中は隔離された異空間となり攻撃を含め、外部からの干渉は一切受けん。」
“総隊長” と呼ばれたその人の言葉を待っていたかのように光に包まれた4人の身体が浮いていく。
藍染とその部下2人と… 名前さん。
なぜ彼女も連れていかれるのか分からずに見上げた視線の先で、彼女がニヤリと口角を上げる。
「名前さッ…?」
「ム…石田、その手の中の刀は…?」
「!…え、これってッ…。」
蹴られた時に一緒に飛ばされたであろうソレはおそらく名前さんの斬魄刀だろう。
なぜ僕のところにこれがあるのか。
そう思ってもう一度見上げれば、“預けた。” と彼女が悪戯っぽく微笑んだ。
「まさか虚とまで手を組んだということかッ…。何の為にだッ…!」
「高みを求めて。」
「地に落ちたか…藍染…!!」
「傲りが過ぎるぞ、浮竹。」
ビリビリッ…と空気がピリつく。
ほんの数日、この瀞霊廷にいた僕でも分かる。
この藍染惣右介という男の霊圧は、異常だ。
「最初から誰も天に立ってなどいない。
君も、僕も、神すらも。
…だが、その耐え難い天の座の空白も終わる。」
藍染が自分の眼鏡に手をかける。
その手からこぼれ落ちたソレは粉々になっており、反対の手でかきあげられた髪にその場にいる誰もが息を飲んだ。
「これからは…私が天に立つ。」
大虚達がいる暗闇に4人の姿が吸い込まれていく。
この場にこれほどの実力者が揃っているにも関わらず、消えていくその姿を見送ることしか出来ない。
そのなんとも言えない歯痒さに、思わず小さく舌打ちを零したのは誰だったのだろうか。
「名前さん、連れていかれちゃった、の…?」
「……あぁ。」
「名前さんが言っていた目的って…あの人を止めることだったの、かな…?」
「…恐らくね。」
「ッ……私、黒崎君の傷治してくるねッ…。」
パタパタと走り去っていく井上さんの声は微かに震えていた。
分かっている。
どうして助けられなかったのか…そう言いたいのは君だけじゃない。
「…石田。」
「……あぁ、僕らも行こう。」
空に開いていた黒い口は閉じ、辺りがザワザワとざわつき始める。
とりあえず黒崎と朽木さんの無事を確認しよう。
そうチャド君に声をかけて、先に走っていった井上さんのあとを追いかけた。
「(何も、出来なかったッ…。皆に守られてばっかりで私は何もッ…。)」
「(俺は、弱い…。)」
「(力を失っただけじゃないか僕はッ…。)」
自分の不甲斐なさと実力不足を実感して、僕達の尸魂界での戦いは幕を閉じた。
続
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