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自分のやるべきことを
おなまえは?
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ガタリ…と音を立てて開いた扉の先には見慣れた白色が静かに座っていた。
周りの霊圧を探っても彼以外のものは感じない。
それだけで何年経ってもこの人には勝てないのだろうな…と悟り、彼の目の前へと腰を下ろした。
「待ってたの?」
「まぁな。そろそろコイツを取りに来る頃だろうと思って待ち伏せてみたんだ。」
「…十四郎さん、」
「お茶を入れよう。話はそれからだ。」
目の前に差し出された玉藻前を掴み自身の腰へと戻せば、その刀身がカタリと音を立てる。
簡単に人に奪われるなと怒っているのだろうが、今はそんな彼女のお説教を聞く余裕は持ち合わせていなかった。
「牢は自分で抜け出したのか?それとも、他の旅禍に助けてもらったのか?」
「…形跡を見れば分かるでしょ。」
「あぁ、そうだな…。形跡だけを見れば名前が自分で抜け出したように見えた。」
「!」
「俺も春水も伊達に何百年も死神をしてないよ。」
まるで全てを理解してくれているかのような十四郎さんの言葉に、思わず下唇を噛みしめる。
この人は…この人達は一体どこまでお人好しなのだろうか。
疑ってくれればいいのに。
疑って、責め立ててくれればいいのに。
そうしたら私も他のもの全てを捨てて惣右介を止めようと思えるのに。
「…十四郎さん、私がこれからは話すことは春水さん以外には言わないって約束して。」
「…約束しよう。」
「……百年前にある人達の裏切り行為を目撃した。その人達のせいで傷ついた人達が沢山いて、彼らから逃げるために私は尸魂界から姿を消した。」
「誰、とは聞かない方がいいのか?」
「今は、まだ言えない。…けど、その人達は今再び動き出している。」
「何を目的にしているかは分かっているのかい?」
「それはまだ…。だけど、彼らの目下の狙いは朽木ルキアちゃんの処刑なのは分かってる。」
「!!」
十四郎さんの顔色が変わる。
彼は自隊の隊士を大切にする人だ。
ルキアちゃんの処刑だって、本当は納得していないし止めたいと思っているのだろう。
ならば、止めてもらえばいい。
今の私の立場ならそれを助けることが出来る。
「彼女の処刑を止めて。私も他の旅禍もそれを狙って動いているけど、正直今の状況だと確実に止められるとは思えない。」
「…それが、名前の目的なのか?」
「うん。…私が、やらなきゃいけないことなの。」
“お願いします。” と自身の額を畳に擦り付ける。
惣右介の計画は恐らくほぼ完了している。
もう、なりふり構っていられない所にまで事が進んでしまっているのだ。
「(なら私も、使える駒は全部使う。)」
「……わかった。」
「!」
「ただし名前も一つ約束してくれ。」
「なに、を…?」
「絶対に死なないこと。自分を犠牲にしようと思わず、生きて俺とまたお茶を飲むこと。」
思わず顔を上げれば交わる視線。
その優しい瞳から私を案じている事が伝わってきて、心の中がフワリと軽くなった気がした。
「…約束、するよ。」
コクリと頷いた私の言葉は、僅かに震えていた。