↓↓
重なった手の平
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
背中から感じる温もりと、自分の身体に回されている腕を見て息を吐く。
重だるい身体と情事後特有の匂いが私を現実へと引き戻させた。
「起きたかい?」
「……離して。」
「ダメだよ。少し無理をさせたからね、今夜はこのまま寝ておくべきだ。」
「……。」
後ろから聞こえる優しい声は昔と変わらない。
惚れた弱み、なんて言葉が自分の頭の中に浮かんでは消えていった。
「名前、取引をしよう。」
「…取引?」
「この部屋に来る少し前に朽木ルキアの処刑日程を早めてきた。」
「!なんでーーー。」
「浦原喜助から聞いているだろう?」
その言葉に思わず口吃る。
分かっている。
惣右介が欲しいのは喜助さんが作り出した“崩玉”で、それは今ルキアちゃんの身体の中にあるのだ。
だからこそ喜助さんは私と夜一さんを一護達と共に尸魂界へと送り出した。
崩玉を惣右介の手に渡らせないように。
「ッ……。」
「アレを手に入れるためなら私は犠牲を厭わない。だけど名前、君が私と一緒に来てくれると約束してくれるなら…旅禍の子達の命は取らないと約束するよ。」
「!」
「名前なら分かっているはずだ。私が本気を出せば彼らくらいすぐに殺せるということが。」
伸びてきた手が私の首元に触れる。
脅し文句と共にその指が首筋を撫であげて、耳元で囁かれる声に自分の身体がビクリと反応した。
「それはつまり…私が行かないと言ったらアイツら皆殺すって言いたいわけ…?」
「そうだね、役目はもう十分果たしてもらった。他に生かしておく理由はないだろう?」
「相変わらず性格悪い…。」
「私が優しいのは名前にだけだよ。」
“取引” というにはあまりに一方的すぎるソレにどうするべきかと脳を動かす。
藍染惣右介という男の実力は本物だ。
それは私が一番理解している。
つまりこの条件下で私が出せる答えは最初から1つしかない。
「…ついていく。だから、一護達は殺すな。」
「羨ましいね、名前に守られるなんて。」
「約束を破ったら私が惣右介を殺す。」
「あぁ、それも悪くないな。」
「!変態ッ…。」
「褒め言葉だよ。」
優しく撫でられる頭に瞼が重くなっていく。
惣右介の腕の中にいると眠くなる。
それも、昔と変わらない。
「おやすみ、名前。」
「惣右介ッ……。」
「目を閉じて。…明日からは忙しくなる。」
“ちゃんと寝て、また明日僕の隣で笑ってみせて。”
そんな言葉を聞きながら、私の意識は深い深い眠りの中へと落ちていった。
続
3/3ページ