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君が過去からやってきた
おなまえは?
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目の前にあるのは白いシーツが掛かった病院によくあるタイプのベッド。
静かな部屋に自分の足音だけが響く。
なんだか、この夢も久しぶりだな。
「…… 名前…。」
一歩、また一歩と進む。
目の前に広がったシーツに手を伸ばして、自分の手が震えていることに思わず苦笑いが漏れてしまった。
こんな俺を嬉嬉として受け入れてくれるなんて、やっぱりお前は変わっているのだろう。
なんて、本人に言ったら怒られるだろうけど。
「……愛してる、名前…。」
徐々に浮上していく意識と共に、誰かの話し声が自分の鼓膜を揺らしていることに気がつく。
死穢八斎會の件が片付いて、眠ったのは確か日付が変わる前だった。
それまでは“エリ”と呼ばれる少女を視たり、事件の概要を学校へ報告したり生徒の様子を見たり…。
とにかく大忙しだった上に自分の怪我の治癒も後から来たリカバリーガールにしてもらったのだ。
疲労困憊、なんて言葉じゃ足りないくらいには身体を酷使させてる自覚があった。
「(くそ…身体が悲鳴をあげるっていうのはこういう事だな…。)」
「!…あ、起きた?」
「……誰と話してたんだ。」
「仕事の電話ですー。どっかの誰かさんが昨日の夜いきなり電話で今すぐ来いとか言うからデスク業務放り出して来ちゃったんですー。」
“最近の消太は怪我が多過ぎてこっちの心臓がもたないっての。”
そう言いながら片手で携帯を弄るソイツの手を引っ張り、近づいた唇に自分のソレを重ねる。
そのままついでにと唇を軽く舐めれば微かに甘いチョコレートの味がした。
「…また朝メシ抜いたのか。」
「ッ…消太、お願いだからノーモーションでキスするの止めてよ恥ずかしい…。」
「あと今何時だ?」
「(華麗に無視か…。)まだ7時前だよ。根津校長から生徒達連れて帰ってくるのは午後でも大丈夫ってさっき連絡来てた。」
「…そうか。」
ギシリ…と音を立ててベッドから起き上がる。
身体が少し痛むものの、生活に支障はない。
そう思いながら未だ隣で心配そうに眉を寄せる彼女の頭を片手でよしよしと撫でつけた。
何故だろうか。
彼女と離れていたのはたった1日だけのはずなのに、何故か会うのがとても久しぶりな気がする。
「(それくらい濃い1日だったってことか…。)」
「そういえば、消太どんな夢見てたの?」
「ゆめ…?」
「なんか、笑ってたよ?あと、私の名前呼んでた。」
「……懐かしい夢、だった気がしたけどな。もう思い出せん。」
「えー、気になる。」
「…あぁ、でも最後に自分が言ってた言葉なら覚えてるな。」
「ことば?」
「あぁ…愛してる、名前って。」
「!…ったくもー!私も愛してるぞ、消太!」
“じゃ、両思い記念でラーメン食べに行こうか!”
そう言って笑う彼女に軽く手刀を落として、俺と名前は今日も隣に並んで生きていく。
END.
(次ページ 補足説明+あとがき)