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君が過去からやってきた
おなまえは?
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「…で、なんの話してきたんだ?」
お気に入りのラーメン屋さんに入って注文を終えた途端に消太が口を開く。
伊弦に会いに行くのにコソコソと外に出た所を捕まりついてきてくれたのだが…正直内容を言うわけにはいかない。
アイツの前では傷害事件にはならない、なんて自信満々に言ったが本来であれば普通に捕まる。
個性を消す薬を入れるために針を刺したのだから。
「(だからこそ内緒で行こうと思ったのに…消太はどの時代でも過保護だよなぁ…。)」
「おい、聞いてんのか?」
「あー…んー……秘密、かな。」
「……殴っていいか?」
「それはダメだよね、普通に。いつからDV夫みたいな性格になったの消太。」
「誰のせいだ、誰の。」
ゴスッ…と頭に入った手刀に思わず顔を歪める。
いざ若い消太の手刀を受けてみると、未来の消太はだいぶ手加減した手刀をくれていたのだと理解出来る。
まぁそれが手加減ではなく老いだ、と言われてしまったらそこまでだけど…。
「あ、思い出した。」
「!…あの日のことか?」
「ううん。だけど、ちゃんと消太に伝えておかなきゃいけないこと。」
「俺に…?」
「そそ。」
目の前に出されたラーメンを受け取ってから割り箸をパキッと割る。
うん、今日は綺麗に割れた。
それから隣で同じように割り箸を手に取った消太に顔だけを向けなおした。
「あのさ、今初めて言うんだけどさ。」
「…なんだ。」
「私、消太のこと好きなんだよね。」
「!…そ、それはーーー。」
「あ、もちろん恋愛感情込みでね。」
「ブフォッ……!?」
「なにっ…!?ちょっと店長に謝んなよ消太!!」
「いやお前が何言ってんだッ…!!」
ゴホゴホと咳き込む消太にティッシュを差し出しながら目の前で苦笑いを漏らす店長に謝る。
全く…せっかく作りたてで美味しいラーメンなのに吹き出すなんて。
同じラーメン好きとして恥ずかしいよ。
「あ、でね?」
「いや待て…!」
「待たない。」
「は…!?」
「待たないから、ちゃんと聞いて。」
「!」
いつもと違う私の声色に消太のピタリと止まる。
さすが、私の良き理解者は話が早い。
「2年経ってもね、喧嘩すると思うんだ。」
「…まぁ、するだろうな。」
「まぁ喧嘩なんて何年経ってもするんだけどさ、だからこそ伝えておくんだけどさ。」
「……。」
「喧嘩しても私からは絶対謝らないから。」
「………は?」
「絶対謝らない。どんなに私が悪くても謝らない。」
「おい、今まさに喧嘩売ってんのか。」
「だからさ、喧嘩したら直接文句言いに来てよ。どこにいても、どんな時でも。」
「!」
正直、消太には2年後に起こるかもしれない事実を全部話してしまおうかと思った。
けどそれをしたら消太が傷つく。
それだけは私が許せなかった。
「(だから、これが私の言える限界…。)」
「…言いたいことはそれで終わりか?」
「ん、おわり。」
「そうか…。」
ガタリと椅子に座り直した消太が大きく息を吐く。
そういえば流れで私から告白をしてしまったが、これで未来が変わったりはしないだろうか?
…いや、でももう言っちゃったしな。
「…おい。」
「ん?」
「とりあえず卒業まで待っとけ。」
「え…?」
「卒業したら嫌でも文句言い合える環境にする。」
「言い合える環境…?」
「…ちなみにな、俺もお前のことは好きだから余計なこと考えずに待っとけ。」
「!…あはは、ウブレイザーが生意気だ。」
「うるせぇ、早くラーメン食え。」
真っ赤になった顔を隠すようにラーメンを食べ始める消太にクスクスと笑う。
やっぱりこの時代の消太は可愛いな。
あわよくばこの可愛い消太とこれから先もずっと、笑いあっていけますように。
「よろしく頼むよ、消太くん。」
「!…任せとけ。お前の面倒なら慣れたもんだ。」
私のこの願いが叶うかどうかは神のみぞ知る、というやつだろう。