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幸せ者
おなまえは?
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消太が眠ったのを確認して布団から下りる。
それから寮の外に出れば、綺麗な満月が暗い空にポツンと浮いていた。
「ミッドナイトって名前だからって夜に活動するわけじゃないのよ?」
「あはは、すみません。」
「ふふっ、冗談。可愛い後輩に頼ってもらえるなんて先輩冥利に尽きるわ。」
そう言って私の頭をクシャリと撫でる香山先輩にお礼を言って近くのベンチへと腰掛ける。
そして隣どうぞ、と香山先輩に促せば相手はフルフルと首を横に振った。
「立ったままでいいわ。名前の可愛い顔もそろそろ見納めみたいだしね。」
「!…話、聞いたんですね。」
「ええ。相澤君が現場に行く関係でフォローを頼まれているから。」
「そうですか…それなら、もう一つのフォローもお願いしていいですか?」
「え?」
「私がいなくなった後のフォローです。」
「!…それならマイク先生の方が適任じゃないの?」
「それも考えたんですけど…山田も泣き虫だから。」
そう言ってクスクスと笑えば、香山先輩もそういえばそうだったと笑う。
あの山田のことだ。
きっと私が死んだ時もたくさんたくさん泣いてくれたのだろう。
そう思うと死んだ未来の私も幸せだったんじゃないかと思ってしまったりする。
「(なんて、残される側にしたら自己中過ぎる話だろうけどね…。)」
「名前…?」
「あ、すみません。少し浸ってました。」
「ふふっ、なんだか大人びたわね。」
「そうですか?」
「えぇ。高校生の頃の名前って無鉄砲な暴れ馬って感じだったけど、今はちゃんと周りが見えてるもの。」
「暴れ馬って…。」
「あら、良い意味でよ?」
「香山先輩って時々意地悪ですよね。」
唇を尖らせて文句を言えば、そんな私を見てまたクスクスと笑い始める先輩。
消太が言っていた。
私が死んで塞ぎ込んだ消太と山田を気にして教師という道を開いてくれたのは先輩だったと。
全体的にエロいし、適当な所もある。
けど、この人は何年経っても私達の前を切り開いてくれる大切な先輩なのだ。
「香山先輩。消太と山田のこと、お願いします。」
「…まだ帰れるって決まった訳じゃないのに寂しいこと言わないでよ。」
「まぁ、そうなんですけどね…。なんとなく、今言っておかないとなって。」
「貴女の第六感は昔から優秀だったものね。」
「私の数少ない長所ですから。」
そう言って笑えば、香山先輩も笑って頷いた。
→ To be continued.
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