↓↓
相澤消太の隠し事
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「苗字さんと付き合ってたって本当ですか?」
エンデヴァーさんに会ってきたと報告に来た轟の言葉に思わずパソコンを打っていた手が止まる。
今の名前は高校3年生で、その頃はまだ俺とそういう関係にはなっていない。
なら他にどこから漏れたのだろうかと眉を寄せて少し考えてみるものの、思い当たる節があり過ぎて次に続ける言葉が見当たらなかった。
「…そんなこと誰から聞いたんだ?」
「親父が口滑らせて、苗字さん驚いてました。」
「!……そうか。」
「…なんか、すみません先生。」
“親父が余計なことを…。” と眉を寄せた轟に大丈夫だと返して寮へと戻らせる。
それからもう一度パソコンへと向き直り、その画面に並んだ文字を見て息を吐いた。
「(名前は部屋か…?)」
「ヘイヘーイ!イレイザー!!んな辛気臭い顔して何考え込んでんだァ!?」
「!…マイク、仕事は終わったのか?」
「たり前ェだろ!!て訳で久しぶりにーーー。」
「飲みには行かねェ。いや、それよりもお前に頼みたいことがある。」
いつものようにヘラヘラと笑って近づいてきたマイクを捕まえて名前の部屋番号を書いた紙を渡す。
そして未だ疑問符を頭の上につけているマイクに先程の出来事を話せば、相手は呆れたように息を吐いてその紙を突き返してきた。
「おいおいイレイザー、そこはお前が話さなきゃいけねェところだゼ?」
「…アイツがここに報告に来ないのは混乱してるってことだろうが。」
「だからって俺に様子を見て来いって?」
「お前なら名前も思っていることを話せる。」
“その方が合理的だ。” と呟いて息を吐く。
いつかは話そうと思っていた。
だけどそれを知った時のアイツの反応を想像して、いつも言い出せなかった。
もしこの名前が俺を好きじゃなかったら?
もしここで名前に話して、本来俺たちが辿るべき道から外れてしまったら?
そう思うと言葉が喉に詰まって、言えなかった。
「…イレイザー。多分だけどよォ、今不安なのは名前も同じなんじゃねぇか?」
「!」
「いや、アイツのが不安だろうぜ。不安で不安で、会いたくても会いに来れねェのかもしれねぇ。」
「…適当なこと言いやがって。」
「おいおい、名前と喧嘩した時に俺の助言が外れてた事なんてあったか?」
ニヤリと口角を吊り上げて笑うマイクに、ふと、学生時代の顔が重なる。
コイツの助言が外れたことなんてなかった。
それが悔しくて、俺よりも分かっているって顔で見てくるコイツを毎回腹立たしく思っていたのだから。
「…行ってくる。」
「今度酒奢れよ、イレイザー!」
「……おう。」
のに、コイツがいてくれて良かったと思ってしまう俺も大概だ。