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出会いは桜の木の下で。
おなまえは?
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パタパタっ…と走る。
あの男子生徒がギリギリまで遊んでくれたお陰で集合時間まで残り数分となってしまった。
「(あの子…名前なんて言うんだろっ…。)」
私を撫でた手の先…その胸元にはピンクの花飾りがついていた。
あれは私と同じ新入生が付けるもの。
つまり、彼は私と同じ1年生だ。
「(ナヨナヨしてたしヒーロー科ではないよなっ…普通科?経営科?)」
サポート科って顔ではなかったな、なんて思いながら1-Aと書かれた扉に手をかける。
間に合った。
ギリギリセーフだ…と息を吐いて扉を開ければ、入ってすぐの席に見慣れたピンクが見えた。
「あ…。」
「……。」
黒い髪に1枚だけ落とされているピンクの花弁。
バチリと目が合えばフイッとそらされた三白眼。
私の頭の中に運命、という言葉が浮かんで消えた。
「…ねぇ、名前は?」
「!…相澤 消太。」
「相澤…消太くん、お花見は程々にね?」
「!」
彼の頭に手を伸ばし、乗っていたピンクの花弁を指先で優しく摘む。
それから彼にその花弁を見せて笑えば、彼は驚いたような顔をしてから恥ずかしそうに俯いた。
「……悪ぃ。」
「ふふっ、いいよ。あ、私の名前は苗字 名前。よろしくね、消太。」
「……あぁ。」
コクリと頷いた彼の耳は少しだけ赤くなっていた。
それからというもの私は毎朝のように早めに学校に行っていた。
始業の1時間前には校舎について、あの桜の木の下で猫の姿になって待つ。
そうすると必ず彼が来るから。
「…今日もいたのか、お前。」
「にゃあ。」
「おはよう。」
初日と違ってすぐに私の元まで来て、私の頭を嬉しそうに撫でる。
この幸せな時間を逃さないために、授業中に猫化の個性は使わなかった。
…自分でも女々しいな、なんて思う。
けどパワー増強型の個性もあるし、昔からやっていた武道も戦いに生かせる。
「(だからもう少しだけ…。)」
もう少しだけ内緒にしたまま。
クラスメイトとしてでは絶対見れない、その優しい顔を私に見せて欲しい。
「(もう少し、だけ。)」