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出会いは桜の木の下で。
おなまえは?
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「はい、召し上がれ。」
そう言いながら私が最後のお皿を出し終えれば、全員が手を合わせてから食べ始める。
こうやって見ていると普通の女の子達なのに、この子達も私と同じようにヒーローを目指しているのか。
…なんだか感慨深いな。
「苗字さんは召し上がらないんですか?」
「あぁ、うん。私は後で消太と食べるから。」
「消太?」
「あ…相澤センセーか。」
「苗字さんって前も相澤先生のこと消太って呼んでましたよね?」
“仲良しなんですか?” と首を傾げるイヤホンちゃん…基、耳郎ちゃんにまぁね、と笑う。
うん、わかるよ。
あの無愛想な担任の先生と私みたいな子が仲良しって聞くと何かあるんじゃないかって思っちゃうよね。
わかるわかる。
だからその興味津々ですって顔でコッチ見ないで。
「聞いてもつまんないよ、私のことなんて。」
「ケロッ?そんな事ないわ、私もっと苗字さんのこと知りたいもの。」
「うんうん!謎の美少女が急に現れて相澤先生と仲良し、なんて気になって仕方ないし!」
「私も聞きたーい!」
蛙吹ちゃんの言葉に便乗して葉隠ちゃんと芦戸ちゃんも私の顔を見つめる。
八百万ちゃんもチラチラこちらを見ているし、耳郎ちゃんはニヤニヤしている。
最後の頼みだと視線を向けた麗日ちゃんにもお願いします、と言われこれは誤魔化せないかと息を吐いた。
「…じゃあ男性陣には内緒ね?あんまり騒ぐと消太が怒るから。」
「もちろんですわ!」
「ワクワク!ワクワク!」
「実は私ね、消太…相澤先生が雄英高校に通っていた時の同級生なの。」
《……え?》
「あ、でも年齢は18歳だよ!高校3年生!」
まだピチピチだぜ、と笑えば食事をすることも忘れて固まる女子ーズ。
うん、わかる。
何言ってんだコイツって感じだよね、わかる。
「ええと…まぁすごく簡単に言えば個性事故みたいなものなんだよね。
高校3年の夏にインターンでプロヒーロー達の手伝いしてたんだけど、そこでヴィランに遭遇して個性を使われちゃって。
気がついた12年後の、この時代にいたの。」
まぁ正確に言えば飛ばされた、が正しいんだけどね…なんて言いながら自分用のお茶を飲む。
必死で理解しようとしてくれているのは彼女達の表情を見れば明らかで…
本人である私すらもよく分かっていないのに彼女達が理解するのなんてなかなか難しいだろうな、なんて暢気な事を考えた。
「つ、つまり…タイムスリップ、てきな?」
「そーそー、まさにそれ。」
「で、では苗字さんは未来に来てしまったということですのねっ…?」
「な、なにそれファンタジーッ!!」
「そんな個性あるんだ!すっごーい!」
理解した途端にドカーンっと盛り上がる女子ーズに私も面白くなってクスクスと笑う。
若いっていいなぁ、考えも柔軟だし。
2歳しか違わないけど、それでもこの2歳差はかなり大きいと思う。
「なら苗字さんの時代では相澤先生が学生って事ですよね!?どんな生徒なんですか!?」
「相澤先生のことだから学生の時から合理性とか言っていたのかしら?」
「相澤先生の学生姿ッ…あかん想像できひんっ…。」
「んー、まぁ今とそこまで変わらないけど…今よりもう少し可愛げがあるかな。」
ふと思い出すのは、消太と初めて出会った時のこと。
私と消太がまだ彼女達と同じ年齢で、これからヒーローになるために頑張ろうって気合が入っていた時。
「初めて会ったのは、桜の下だったかな。」
そう、あれは私が雄英高校に入学した日の事だった。