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キラキラヴェール
おなまえは?
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落ちていくヴィランを見送ってから近くにあった給水タンクの上へと着地する。
下では事務所のサイドキック達が落ちたヴィランを確保しているし、この後の事務作業やら警察への引渡しやらはアイツらがやってくれるだろう。
「(意外と早く終わったな・・・。)」
「ホークスさん、お休みの日にすみませんでした。」
「え、あぁ・・うん。」
近くの電子掲示板の時計を見ていればいつの間にか隣に来ていたサイドキックが苦笑いで謝ってくる。
いつもなら軽い嫌味のひとつでも零すところだけど、今日はそういう気分にもならない。
時間的には披露宴が始まったくらいだろうし、このまま式場に戻ろうか。
そう考えてみたものの、俺の羽は飛ぶことを忘れたかのように動くことはなかった。
「今日、名前さんの結婚式ですよね。」
「・・・そうだね。」
「本当は呼ぼうか迷ったんですけど、これ以上ホークスさんの傷つく顔は見たくないなって思っちゃいまして。」
「!」
「好きな人の結婚式なんて誰でも見たくないだろうし、俺たちなりに気使ったんですよ。」
“たまには役に立ちました?”
少し眉を下げて笑うソイツに思わず自分の顔に手を当てて笑いを堪える。
なるほど、こんなに手応えのないヴィラン相手で応援要請なんておかしいと思っていたがそういう事だったのか。
俺の気持ちはコイツらに筒抜けだったとは思わなかったが・・・。
どうやらウチの事務所のサイドキック達は随分と俺のフォローが上手くなったらしい。
「ホークスさん?」
「いや・・・正直助かったよ。」
「!」
「ありがとう。」
俺の言葉に少し安堵したソイツが、頭を下げてから再び地面に向かって降りていく。
太陽の光が近くのガラスに反射してキラリと光り、その眩しさに思わず自身の眉を寄せた。
式場に戻ろう。
良くも悪くも俺のヒーロー活動は常にメディア達が発信している。
そして意外と心配性な名前のことだ。
俺の目撃情報やらヴィラン情報を探して俺の帰りを待っているに違いない。
「(自分の結婚式なんだから、今日くらいは俺のこと忘れてくれてもいいんだけどね・・・。)」
キラキラ光るヴェール。
キラキラ光る瞳。
キラキラ光るその笑顔は、俺のものにはならない。
「なにがお幸せに、や・・・。」
出来ることなら俺が幸せにしたかった。
そのヴェールを上げて、少し恥ずかしそうに笑う彼女に誓のキスをして。
一生愛してあげる、なんて耳元で囁いて。
「・・・愛しとぉよ、名前。」
言えなかった6文字を飲み込んで、いつもより少しだけ重い羽をバサリと広げる。
“家族” として、君を祝うために。
自分の気持ちに蓋をして。
俺は空へと飛び立った。
END.
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