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1番近い。
おなまえは?
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“速すぎる男。”
この男を最初にそう呼んだのは誰だったのか。
18歳で事務所を立ち上げ、その年の下半期にはヒーロービルボードチャートのトップ10に入った。
赤い羽根を羽ばたかせ、ヴィランから街を守る。
そんな人気者は、私の上司である。
・・・あと1ヶ月間だけ、だけど。
「・・・で?速すぎる男はアレですか?女に手出すのも速すぎる訳ですか?あ?」
「いたたたっ・・・痛いよ名前ちゃんっ・・・。」
「痛くしてんだよヤリ〇ンが。」
ゲシゲシ・・・とそいつの背中を蹴る。
この男のサイドキックを始めて早3年半・・・必死になってヒーロー免許を取ったのに、ここ最近やっていることといえば事務所にくる苦情電話の対応だ。
「いやぁ、まさか撮られてるなんて・・・ねぇ?」
「ねぇ、じゃねぇよ。万年発情期コラ。」
「アハハ、今日もキレッキレだね名前ちゃん。」
「笑い事じゃねぇわ!」
ヘラヘラと笑いながら私を見るソイツの顔面に、持っていた週刊誌を叩きつける。
“ホークス、次の相手は人気女子アナウンサー!”
なんて書いてある記事を見た瞬間は怒りを通り越して最早呆れしか感じなかった。
ホークスが女と噂になるのも日常茶飯事。
その苦情に対応するのも私にとっては日常茶飯事だ。
「(しかも今回は相手が悪かったっ・・・女子アナなんてまためんどくさい所に手出しやがってっ・・・。)」
「名前ちゃん、名前ちゃん。」
「・・・なんですか、万年発情期さん。」
「本当にココ辞めちゃうの?」
「!・・・当たり前です。」
「寂しくなるなァ。」
「何言ってんですか。口うるさいのが居なくなって楽になる、の間違いじゃないですか?」
隣の椅子に座りペラペラ・・・とつまらなそうに週刊誌を捲るホークスに視線も向けずに答える。
高校を卒業した時、たまたま出会ったこの男が事務所を立ち上げるからと誘われて頷いた。
私の個性は風で、この男の個性は剛翼。
・・・相性もいいし同い年なら仕事がしやすいと思った。
「(・・・それが間違いだった。)」
「引越しは?」
「最終出勤日から1週間後。」
「どこに行くんだっけ?」
「東京。」
「じゃあ来週、デートしよっか。」
「・・・寝言は寝てから言ってください。」
小さな舌打ちと共にそう呟けば、ホークスは分かっていたかのように笑った。
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