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嵌められた兎
おなまえは?
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ドンドンドンッ…と扉を叩く音がする。
時刻は既に夜中で、技局に残っているのは自分だけだったはずなのに。
「(大体、技局の人間なら入口の番号を入れてさっさと入っくるはずだけどネ…。)」
いつもなら傍に居るはずのネムも今日は別の場所に行っている。
つまりこの状況では自分が入口を開けて、真夜中に扉を叩いている無礼者を処分しなければならない。
そこまで考えて大きな息を吐いた時、外から聞こえた聞き覚えのある声に思わず椅子から立ち上がった。
「……何をしているのかネ、君ハ。」
「あ、やっぱりいたー…。マユリ隊長、こんな時間まで何してたんですか?」
「それは私が聞いてるんだヨ。今日は女性死神協会の飲み会だったんじゃないのかネ?」
「そうだったんですけどね、抜けてきました。」
「抜け…?ネムはどうした?わざわざ監視のために付けたのに一緒じゃないのかネ?」
「んう…?ネムさんはー…置いてきました。」
“文句ありますか?” と笑う苗字 名前に思わず眉を寄せる。
話し方はいつも通りだが、顔が赤い。
そしていつもより態度がでかい。
それだけで彼女が酔っていると理解は出来たものの、何故酔った状態でここに来たのかが理解出来ない。
大体ネムは何をしているのだろうか。
自室に帰るまで見届けろと言ってあったのに、彼女以外の霊圧は感じられない。
「…とにかく部屋に帰ーーー。」
「マユリ隊長は、私のこと好きですか?」
「!…何を、言っているのかネ?」
「私は、好きな人と結婚したいです。お互い好き同士で、幸せな結婚をしたいです。」
酔うと大胆になるタイプの人間か。
そう考えながら視線をずらし、息を吐く。
この手のタイプは次の日になれば何も覚えていないという傾向が多い。
つまり真面目に相手をするだけ無駄だ。
「好き同士で結婚をしたいと訴えるなら、まずは君が私を好きになるべきじゃないのかネ?」
「わたし、が?」
「君が私のことを好きになったなら、幸せな結婚というものをさせてやるヨ。後悔をする暇もないくらい可愛がってあげよう。」
「……。」
私の言葉に口を噤んだ彼女にもう一度息を吐いて、部屋の方へ視線をやる。
仕事は途中だが酔った状態の彼女を1人で部屋に返す訳にはいかない。
部屋まで送って、また戻ってくればいい。
そう考えて視線を再び彼女へと戻せば、彼女は私を見つめその口角をグッと下に引き下げた。
「化粧しているマユリ隊長は嫌いです。意地悪だしムカつくし卑怯だし…私の考えてること全部知ってるみたいな顔するから嫌いです。」
「…何が言いたいのかネ?」
「私の気持ちを勝手に知った風なこと言わないでください。私の気持ちを知ってるのは私だけです。」
「なら聞こうじゃないか…君の言う、気持ちというものを。」
強情な彼女を早く言いくるめて仕事に戻らなければならない。
そう思ったらいつもよりも口調が厳しくなった。
ここで泣かれでもしたら、ここまで積み上げてきたものが全て壊れてしまうというのに。
「……てください…。」
「…何だネ?」
「っ…だから、私の事好きなら好きって言ってくださいって言ってるんです!!」
“この甲斐性なし!!” と叫んだ彼女に思わずその目を見開く。
自分の気持ちを言え、と言ったのに返ってきたのはよく分からない罵声で。
やはり酔っぱらい相手に会話をしようとした自分が間違っていたのだろうと考えながら、そのうるさい唇に自分のソレを押し付けた。
「!?」
「…なら、教えてあげようじゃァないか。私が君をどれだけ想っているのか。」
ネムが帰ってきたら朝一で四番隊に彼女の休暇届を出しにいかせよう。
彼女はきっと明日1日布団から起きることは出来ないだろうし、行かせる気もない。
そんなことを考えながら未だ驚いている彼女を肩に担ぎあげて、自分の部屋に向かうためにその部屋を後にした。