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おかえり、世界
おなまえは?
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最初に不思議に思ったのは、郵便受けが片付いていた事だった。
ここに帰ってくるのは約1か月振りなのに。
大家さんが保管してくれているのだろうか?
そんな事を考えながら植木鉢の下に隠しておいた鍵を使って玄関を開けて、その中の荒れ具合に目を見開いた。
「……え?」
確かに、元々部屋はそこまで綺麗な方ではない。
でもだからといって…ここまで荒れていただろうか?
玄関に呆然と立ち尽くしそんな事を考えていれば、何故かリビングルームに入る扉がガチャリ…と開く。
見ちゃダメだ、と思った。
「……遅かったなァ、名前。」
「っ……。」
ゾワリと全身に鳥肌が立つ。
なんでここにいるんだ、と言いたいのに…あまりの出来事に声が出ない。
…神様は、意地悪だ。
「会いたかったよ…俺の可愛い、名前。」
「っ……と、むらさっ…。」
ゆっくり近づいてくるその姿に、私の目から自然と涙が零れ落ちる。
今すぐ逃げなきゃいけないのに…私の足はまるで縫い付けられているかのように動かない。
伸びてくる手が、ゆっくりと、私の頬に触れる。
この手で…この人は私の両親を殺したのか。
「迎えにきた…。名前、一緒に行こう。」
後ろで人が倒れる音がする。
きっと、プロヒーロー達が誰かにやられてしまったのだろう。
それはつまり…私がこの人から逃げる道がなくなったということだ。
「……私の両親は…弔さんが殺したんですねっ…?」
ピクリと弔さんの手が揺れる。
「私は…弔さんと出会っていたんですねっ…?」
弔さんの細い指がスルリと私の頬を撫でる。
…弔さんの顔は、フードと髪のせいで見えない。
「わ、たしはっ……。」
私のポケットの中からバイブ音が鳴り響く。
きっとオールマイトさんだ。
心配性のあの人だから無事着いたのか確認するために電話してきたのだろう。
「…… 名前。」
「っ……。」
「… 名前。」
「ぁっ…。」
グイッと引き寄せられて、そのギラリと光る赤い瞳と視線が交わる。
もう、逃げられない。
「名前…俺と行こう。」
「っ…弔さんっ…お迎えが遅いですよっ…。」
「あァ…今度は離さない、もう二度と。」
弔さんの両手が私の頬を包み込む。
この人が本気になれば、私は今すぐ壊れてしまうというのに…その両手は微かに震えていた。
「……責任、取って下さいねっ…?」
「分かってる。」
「死ぬまで面倒みてくださいねっ…?」
「言われなくても。」
「浮気は許しませんからねっ…?」
「名前以外に興味ねェのに?」
「キス、してくれますかっ…?」
「…んなの、言われなくてもするに決まってる。」
久しぶりのキスは私の涙の味がした。
→ To be continued.
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