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おかえり、世界
おなまえは?
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「さぁ、これでゆっくり話せる。」
“改めて、身体の調子はどうだい?”
そう尋ねるこの人は、きっと分かっている。
私が弔さんのことを忘れられず苦しんでいることを。
あの人が今どこにいるのか知りたくて…わずかな望みをかけてココに来ているということも。
…私が、人生の岐路に立っているということも。
「…2年間の記憶を、思い出しました。」
「それは良かった。…いつまでも記憶喪失、だなんて弔も可哀想だからね。」
チラリと自分の上にあるカメラを見る。
赤い光がキラリと光って、このカメラの向こうでオールマイトさんが見守ってくれていると思ったら少しだけ安心できた。
…大丈夫、話をするだけだ。
目の前にはガラスがあるし、この人は口以外を自由に動かすことが出来ない。
「…どうやら随分と警戒されているみたいだ。」
「!」
「残念だよ…僕は君の命の恩人なのに。」
「な、に…言ってっ…。」
「記憶が戻った、と言っていたね。だとしたらそれは不正解だ。…君はまだ記憶を完全に取り戻したわけじゃない。」
「そんな事ないっ…!」
「あるさ。…もし本当に全ての記憶を取り戻していたとしたら、君はここに来ていない。」
ニイッ…と先生の口角が上がる。
視線が、その人の顔からそらせない。
私の身体に何か細工がされているのだろうか。
そう思ってしまうくらい、私の身体はピクリとも動かなくなってしまった。
「君を、連れてきたのは僕だ。」
「っ…それは前にも聞いたっ…!先生が私の両親を殺して私をあの場所にーーー。」
「本当にそうだったかい?」
「!!」
「さぁ、ちゃんと思い出してみるんだ。」
“ 真実を。”
何かに殴られたような痛みが頭に走る。
ぐらりと視界が歪み、支えきれなくなった身体は椅子から転がり落ちた。
「ぁ゙あっ……!」
「あぁ…可哀想にね。…君は弔に愛されてしまった。愛されてしまったからこそ、両親は殺されたんだ。」
扉が開く音がする。
何人かの足音がして、温かい何かが私を包み込む。
なのに私の視界に映るのは…赤。
崩れる肌色。
耳に響く大人の叫び声と…私の名前を呼ぶ小さな声。
「… 名前は、…僕のだっ……。」
その小さな手は…私の頬に触れて、その小さな男の子は私に笑いかけたのだ。