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変化する世界
おなまえは?
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部屋に入れば、いつもより覇気のないソイツが俺を見て小さく笑う。
その姿が痛々し過ぎて眉を寄せれば、相手はそんな俺に苦笑いを漏らした。
「おい、ンだその辛気臭ェ顔は。」
「ちょっと夢見が悪くてね、夜にあんまり眠れなかったんだ。」
「!」
いつものように窓際の椅子に座れば見えた、いつもより腫れているソイツの目元。
泣いたのか、と言いかけてから自分の口を閉じる。
それを聞いてしまったら、コイツがどこかへいなくなってしまう気がしたのだ。
「爆豪君?」
「明日から、寮に入る。」
「あ、そっか。全寮制だし、しばらく会えなくなっちゃうんだね。」
「・・・なら、一緒に来ればいい。」
「・・・ん?」
何を言っているのだという顔をして俺を見つめるソイツに小さく舌打ちをする。
そんなことを言うつもりじゃなかった。
なのに、何故かこの時、コイツも一緒に雄英に来ればいいんじゃないかと思ってしまった。
「・・・ありがとう、爆豪君。」
「別に・・・。」
「心配かけちゃったんだね。」
「心配なんかするかよクソモブが。」
「素直じゃないなぁ。」
クスクス笑うソイツの笑顔は、ぎこちない。
ふと死柄木の腕の中で頬を染めていた時の顔を思い出して、ドス黒い感情が身体の中をめぐる。
それはデクに負けた時に感じたソレと、似ているようで全く似ていない感情。
「嫉妬・・・か。」
「爆豪くん?」
「・・・名前。」
「お・・・?急な呼び捨て、どうした?」
「一緒に来いや。俺ならンな顔させねェ。」
驚いているソイツの手を取り、その指先に軽くキスをしてみる。
ビクリと揺れた身体に、頬が緩む。
俺の行動一つ一つに動揺する姿を見ると、なんとも言えぬ満足感が自分を包み込んだ。
「じょ、冗談にしてはタチ悪いなぁっ・・・!」
「冗談、だと思うか?」
「っ・・・。」
俺の顔を見て困ったように歪む名前の顔。
死柄木の腕の中でしていた顔と同じ、気まずさと恥ずかしさを含んだ赤い頬。
・・・自分のものにしたい。
そう、思ってしまった。
「なァ、名前 ・・・、俺のモンになれや。」
ソイツの耳元に顔を寄せ囁く。
そしてそのまま耳をカリッと軽く噛めばソイツの身体が再びビクリと跳ねた。
本来ならこのまま押し倒したい衝動をどうにか抑えて離れれば、相手は悔しそうな切なそうな顔をして俺を見つめていた。
「警察には俺から提案する。・・・そのアホな脳ミソ使って考えとけや、クソ名前。」
そう呟いてそのまま部屋を出る。
きっと自分の口角は吊り上がっている。
アイツは死柄木のことを好いている。
そしてそれは死柄木も然りだ。
・・・だから何だ。
アイツはコッチの世界の人間だ。
なら俺と一緒になった方がアイツも幸せになれる。
「・・・逃がさねェ。」
扉の向こうにいるソイツにそう呟いて、俺はさっさとその場所を後にした。