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監禁生活5日目
おなまえは?
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部屋に戻ってきて1人になる。
黒霧さんは仕事があるからとどこかに行ってしまったし、他のみんなの気配もない。
・・・今日は忙しいって弔さん言っていたし、きっと皆でなにかしているのだろう。
「・・・なにか、悪いことしてるのかな・・・。」
自分の個性を知って、1番最初に思ったのは弔さんを助けたいという気持ちだった。
だけど、それと同時に不安になった。
・・・弔さんはヴィラン連合だ。
しかも弔さんがヴィラン連合のリーダーだとトガちゃんが昨日教えてくれた。
てことは・・・私が弔さんに個性を使ったら、私は悪いことに加担するってことになる。
「(うー・・・ん・・・。)」
正直なところ、私はこの世界を守りたいとかそういうヒーロー的な気持ちはない。
だけど悪いことはしちゃダメ・・・なんていう一般人的な考えは持っていたりする。
つまり一般人なのだ、私は。
「・・・うぁぁあっ・・・。」
あの短時間の会話で頭を使いすぎた。
それに朝から弔さんに襲われて体力だって削られているし、少しだけ現実逃避したい。
大体カミングアウトがすごくない?
君の両親殺したとか普通に言ってのけちゃう“先生”って一体何者なんだよ。
正直、記憶ないから先生のこと分かんないし、両親の記憶だってほとんどないから微妙に複雑なんだよ。
「・・・もう、寝てやるっ!!!」
天井に向かって思いっきり叫んだ私の言葉は誰に拾われることなく空気に溶けていく。
どうせ弔さん達が帰ってくるのはまだ何時間も先だ。
そう思って目を閉じれば、私の意識はあっという間に夢の中に落ちていった。
ふと目を覚ませば隣で弔さんが眠っていた。
いつの間に帰ってきていたのだろうかという驚きと、隣に弔さんが寝ても起きないくらい爆睡していた自分への呆れで小さく息を吐く。
「(・・・弔さんも爆睡だ・・・。)」
スースーと眠る弔さんにクスクスと笑う。
こんなに爆睡してる弔さんも珍しい。
サラサラ・・・と髪の毛で遊んでからゆっくりと布団を抜け出す。
なんだか喉が乾いた。
そう思って扉に手をかければいつも黒霧さんがいる部屋から何やら話し声が聞こえてきた。
「(・・・飲み物、貰えるかも・・・。)」
チラリと振り向いてみるが、弔さんは未だにスヤスヤと眠っている。
足枷は相変わらずついていないし、少し居なくなるだけなら平気だよね?
そんな言い訳を自分の心の中でしながら扉に手をかけて音がしないようにゆっくりと開けた。
「!!」
扉の隙間から部屋を覗けば、そこには仮面にハットを被った人と黒髪の人が何かを話していた。
一昨日、弔さんとこの部屋に来た時にいた・・・名前は分からないけど弔さんの仲間の人達だ。
そしてその2人の前には椅子にガッツリ固定されて眠るように目を閉じている男の子がいる。
「・・・体育祭で優勝してた子だ・・・。」
「覗き見か・・・?」
「!?」
後ろから声がして思わずビクリと身体を揺らせば、後ろからギュッと抱きしめられる。
あぁ・・・どうやら私が抜け出したことくらい、この人には筒抜けだったようだ。
「弔さん・・・たぬき寝入りなんてズルいです・・・。」
「ちゃんと寝てた。・・・部屋からいなくなったの分かったから起きてきたんだよ。」
「・・・ごめんなさい・・・。」
「・・・部屋戻るぞ。」
グイッ・・・と腕を引かれ、大人しく従う。
あの子は、私と同じで攫われてきたのだろうか?
ふと体育祭で見た彼の表彰式の姿を思い出して、少しだけ眉を寄せた。
・・・あの子は、どうなるんだろう。
「(・・・なんて、弔さんには聞けないよな・・・。)」