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監禁生活3日目
おなまえは?
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帰ってきた私を部屋に戻して、弔さんは部屋から出ていってしまった。
私の手は、ここに来て初めて震えていた。
「っ……。」
弔さんが緑谷君の首に手をかけている姿を見て、一瞬躊躇った私がいた。
この人はヴィランなんだと、改めて実感したのだ。
なのに、ゆっくりと伸ばされた手を見て…私はなんの躊躇いもなくその手を取ってしまった。
「っ…弔さんっ…。」
私はあの時、緑谷君の命よりも弔さんが逃げられるかを心配していたのだ。
「… 名前。」
「!…と、むらさん…?」
「……。」
いつの間にか目の前にいた弔さんに、目を見開く。
その顔はひどく穏やかで、何かが吹っ切れたような…そんな顔をしていた。
「名前、俺が怖いか?」
「!こわく、ないです…。」
「ならどうして震えてる?あの時からずっと。」
“あの時” とは、あのショッピングモールで再会した時からという意味だろう。
やっぱり弔さんは気がついていたんだ。
そう思ってうつ向けば、弔さんの手が私の頬をスルリ…と撫でてそのまま下へと降りていく。
そして少し躊躇ってから、私の首に手をかけた。
「!」
「…俺がこの浮いてる人差し指を当てれば、名前は崩れて塵になる。そしたらその塵を瓶に入れてずっと持ち歩く。」
「っ…。」
「そしたら誰にも盗られない。正真正銘、俺だけの名前になる。」
「っ…弔さ、ん…。」
自然と零れてきた涙は恐怖からではなかった。
ただ、この人が今までどれだけ寂しい思いをしてきたのかと辛くなった。
「っ… 名前…。」
「とむらさんっ…。」
近づいてきた顔に目を閉じれば、頬に温かいものが当たる。
それは目から頬まで、何度もくっついては離れて…いつの間にか涙は流れなくなっていた。
「…弔さん…私、変なんです…。」
「変になればいい、俺がいるから。」
「あの時…私は彼よりも弔さんを心配していました…。どうしたら弔さんを逃がせるか、それしか考えていなかった…。」
「名前、俺を見ろ…。」
「私は…彼が死ぬとしても仕方がないとおもってしまったんですっ…。」
「名前。」
首に当てられていた手は私の背中へと回り、優しく抱きしめられる。
そのまま引き寄せられるようにお互いの唇が重なった時、私はその温かさに安堵した。
「弔さんっ…死なないでっ…。」
「…死なない。名前のことも死なせない。」
“俺の世界には名前だけだ。”
私の耳元で囁かれたその言葉は、どこかで聞いた覚えがある気がした。
→ To be continued.
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