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唯一愛した男の話。
おなまえは?
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“名前、順調か…?”
「…そう、ですね。」
“あまり納得いってないって声だなァ…。そんな焦らなくてもちゃんとお前の仕事をする時が来るよ。”
「…かしこまりました。」
そう呟くとプツリと切れる通話。
私には主が考えている事がたまに理解できない。
小さく息を吐いて携帯をポケットにしまえば、後ろからギシリッ…と床を踏む音がこだます。
咄嗟に警戒して振り向くが、そこには寝るようなのか着流し姿の若様が立っていた。
「!…なんだ、若様でしたか…。もう夜中ですが、どうかいたしましたか?」
「…いや、何となく目が覚めただけだ。」
「そうですか…。」
「今の電話は…死柄木か。」
「はい。迷惑を掛けていないかと聞かれたのでなんとも言えないと話していました。」
そう言って眉を下げれば、相手は何かを考えるように一瞬だけ視線を逸らす。
それからもう一度私を見ると小さく息を吐いた。
「息苦しそうだな、お前はいつも。」
「!…そう、でしょうか?」
「あぁ…まるで昔の俺をみているみたいで…正直気持ちが悪い…。」
「気持ち悪い、ですか…?」
「あぁ…。自分がその人の為にと動いても拒否されるしんどさを俺は知ってる…。」
グッ…と握りしめられたその拳に、この人は何を思っているのかと興味が湧いた。
主が全てだった私と、この組が全てだったこの男。
何が同じで、何が違うのだろう。
そんな疑問を持ってしまった私の手は、気がつけばその握られた拳へとに伸ばされていた。
「!」
「ぁっ…ごめん、なさいっ…。」
驚いて身体が跳ねる若様に、思わず謝って半歩下がる。
そういえばこの人は潔癖症だった。
もしかしたら蕁麻疹出ちゃってるかも…とその人を見れば、相手は不思議そうに自分の手をジッと見つめて固まっていた。
「…あの、若様っ…?」
「!…いや、何でもねェ…。それより明日その死柄木が来るらしい。」
「!そう、なんですか…?」
「あぁ…。だからもう寝ろ。」
「分かりました、ではおやすみなさいませ。」
ペコリと頭を下げて、そそくさと自分の部屋へ戻る。
久しぶりに主に会えるという気持ちと、なぜ若様に触れたくなったのかと疑問に思う気持ち。
そんなモヤモヤした気持ちのまま、私の夜はふけていきました