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数年越しの許嫁。
おなまえは?
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次の日、午前中の授業が終わったため食堂へ向かうべく椅子から立ち上がる。
相変わらず色々言ってる物間君とそれを止める一佳ちゃんと教室を出れば、何故か轟君が教室の外に立っていた。
「…と、轟くんっ…?誰か探してるの?」
「いや…、一緒に飯でもと思ってよ…。」
「へっ…?」
「轟くぅん!残念だけど苗字僕らと食べるんだよ、なぜなら苗字は僕らBクラスの仲間だからねぇ!?」
「!…そうか、そう…だよな…。」
「ちょっと物間っ…!」
いきなりの事で固まっていれば物間君がいつものように轟君へと悪態をつく。
当然、一佳ちゃんがいつものように止めに入ったが、私は驚きすぎて何の反応も出来なかった。
「クラスが違うから会えねぇし、職業体験始まっちまったら1週間会えないだろ…?だからと思って…。」
「!あ…そう、なんだっ…。」
きっと仲良くしようとしてくれているのだろう。
シュン…と肩を落とす轟君が少し寂しそうな顔をしていたため私は少しだけ罪悪感を感じてしまった。
「さ、早く食堂に行こう。」
「え…う、うんっ…。」
「名前いいの?わざわざ待っててくれたのに。」
「いいんだよ拳藤、苗字は僕らーーー。」
「悪い、やっぱり借りてく。」
「「えっ…?」」
そんな声がして振り向こうとした瞬間にグイッと腕を引かれ、気がついたら轟君に手を引かれ走り出していた。
「って…ええぇっ!?」
「悪い!今日はどうしても苗字と一緒に飯食わなきゃって思ってたんだっ。」
“後で一緒に謝る。” と変に律儀な言い訳をしながら、轟君は私を引っ張り続けた。
たどり着いたのは学校の中庭だった。
とりあえず座ろうと声をかけられ近くのベンチに座れば、轟君が持っていた包みをコチラへ差し出した。
「冬美姉さん、覚えてるか?」
「う、うん…。今でもたまに手紙交換してる。轟くんが雄英に入学したのも冬美さんから聞いたんだよ。」
「そっか。…昨日のこと話したら弁当持たせてくれてさ、せっかくなら一緒に食べろって。」
「!そ、そうだったんだ…。(いきなり連れ出されたからどうしたのかと思った…。)」
“驚かせて悪い。” と謝る轟君に、大丈夫だと頷いてお弁当を広げてみる。
するとなかなかに豪華なお弁当が出てきたため思わず頬を弛めてしまった。
「美味しそう…!」
「!…笑ったな。」
「えっ…?」
「昨日からあんまり笑ってなかったから…姉さんが苗字は食べることが好きだって言ってて、協力してもらったんだ。」
そう言ってクスリと笑う轟君に、ボッと顔が熱くなる。
小さい頃もそうだったけど、高校生になってイケメン度が増している気がするのは気の所為だろうか…?
しかもこの感じ…ド天然タラシなのでは…?
「っ…あの、轟くんっ…?そういうのはちゃんと大切な人のためにした方がいいんじゃないかなぁ…?」
「!…大切な人?」
「だって誰これ構わずそんな事言ってたら色んな人に誤解させちゃうよ。」
「…そうか。苗字は俺の許嫁だからと思って努力しようと思ってたが、やり方が違ったって事か?」
「ブフっ…ゴホッ…!!」
轟君のその言葉に驚いてお茶を吹き出せば相手は驚いたように目を見開く。
年頃の女が人前でお茶を吹き出すなんて恥ずかしいけど、それよりも誤解を解かねばならない。
そう思って轟くんに、何を言っているのだと冗談っぽく返せば相手は至極当然のように頷いた。
「苗字は許嫁だから大切な人だろ?」
…この天然さんを誰かどうにかしてください。
(→ オマケ)