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ド天然My HERO
おなまえは?
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事務所の中へ入ればすぐにスタッフ達がダダダダっ…と駆け寄ってきた。
時刻はもうお昼前だと言うのに、昨日から仕事が進んでいた気配がない。
サボっていたというよりも、手がつけられなかったのだろう…さっきから鳴り続ける電話が何よりの証拠だ。
「朝からずっと問い合わせがすごくてっ…。」
「私がっ私が死んでお詫びをっ…!!」
「いや、これは完全に私の監督不行届だよ。色々苦労かけてごめんね。…と、焦凍君は?」
「それがっ…。」
気まずそうに視線を逸らすスタッフにどうしたのかと眉を寄せれば、無言で焦凍君用の執務室を指差す。
この状態でパトロールに出掛けていたらどうしようと思っていた私は止めるスタッフも放置してその執務室の扉を開けた。
「焦凍君すこしはなっ…し…が…。」
「ム?」
「苗字…ちょうど良かった。」
「お、お久しぶりですっ…エンデヴァーさんっ…。」
「あぁ、久しぶりだな。お前がうちの事務所を辞めて以来だから2年振りか。」
ダラダラと冷や汗が流れる。
なんでこの人がここにいるんだ。
思わずそう言いかけて、その口を自分の手で塞ぐ。
スタッフ達がお通夜のようになっていたのはきっとこの人のせいでもあるんだろう。
「あの手、苗字の手なんだ。」
「そうか、なるほどな。」
「あ、あの私お茶でもお持ちしますねっ…?」
「いらん。それよりそこに座れ。」
一刻も早くこの部屋から抜け出したいと思い口に出した提案は見事に切り捨てられ、仕方なく焦凍君の隣へと座る。
目の前に座るエンデヴァーさんをチラリと見れば、私服だからか幾分柔らかい眼をしていた。
…前より少しだけ老けただろうか?
彼の事務所でサイドキックをしていた焦凍君が独立するから私もついていく。
2年前にそんなワガママをこの人にぶつけて以来の再会だから、正直すごく気まずい。
「…元気でやってたのか。」
「あぁ。」
「お前のことは知っている。苗字の方だ。」
「えっ…は、はいっ…。」
「焦凍が仕事をスムーズにこなせるのはお前の働きがあるからだろう。うちの事務所で学んだことを活かせているのだな。」
「は、はい…。」
「…なら、文句はない。俺はお前達を応援しよう。」
「………はい?」
優しいエンデヴァーの言葉にちょっと泣きそうになっていた私が、エンデヴァーの最後の言葉で一気に現実へ引き戻される。
ちょっとまて。
なんか…今、他意が含まれていた気がするぞ。
そう思って勢いよくエンデヴァーを見上げれば、その当の本人は私と焦凍君の頭をガシガシと撫でてから立ち上がった。
「式をするなら良い神社の候補を出してやるから連絡してこい。…孫は早いに越したことはない。」
「ま、孫っ…!?」
「神社…?厄祓いか?」
「何せ事は早い方がいい。それじゃあな。」
「ちょ、待ってエンデヴァーさーーー。」
無常にもバタンっと閉まる扉と…私の隣で首を傾げている焦凍君。
このド天然王子は本当にあのエンデヴァーさんの息子なのだろうか…。
そう思いながら頭を抱えれば、焦凍君は落ち込む私の頭をポンポンと撫でてくれました。