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ド天然My HERO
おなまえは?
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「SNSは基本的に写真とセットが基本。焦凍君のファンが見て、街やテレビでは知り得ない新しい一面を見せることが大切。」
「俺のファンなんているのか。」
「フォロワー数見てから言おうね、焦凍君。」
焦凍君は今やトップヒーローの仲間入り。
そしてこの顔の良さ、エンデヴァーの息子というエリートさが拍車をかけ…今や海外でも人気のヒーローとなった。
そんな人が “ファンいるのか。” なんて普通に考えたら嫌味だけど、彼の場合はそうじゃない。
神様が彼に唯一の与えた欠点…ド天然な性格ゆえに出た純粋な疑問だろう。
そんな彼だからSNSもスタッフ管理にしていたのだが、今回だけならきっと問題は無い。
「写真、なんでもいいのか?」
「焦凍君に関わるものなら基本なんでも。あぁでも、事務所の中には極秘資料もあるから写らないように気をつけて。」
「あぁ。」
「それから万が一、ヒーロー以外の事務所スタッフが写り込みそうになっても、顔だけは隠してね。」
“プライベート死守。” と伝えながら目の前のPCをカタカタと打ち続ける。
焦凍君は自分のスマホを片手にウロウロしているが、まぁ子供じゃないんだからそこまで気にすることも無い。
注意事項は伝えたし、焦凍君が以前から自分名義のSNSを興味本位で見ていることも私は知っている。
「(それに私は明日休み!それまでに出来る仕事を片付けて美味い酒を飲むっ…!!)」
「なぁ、苗字。」
「ん?」
「いつもは俺と一緒に仕事したヒーローとの写真とか投稿してるだろ?なのにどうして事務所の連中はダメなんだ?」
「んー…、ヒーローはメディアに出ること前提で仕事してる人達だし、仕事仲間っていう枠組みだからファン達も何も思わない。
むしろ焦凍君のヒーロー仲間を知ることが出来るから喜ばれるんだよね。」
「事務所の連中も仕事仲間だろ?」
「ふふっ、焦凍君のそういうストレートな所も素敵。だけどヒーローとしては思慮不足。
事務所のスタッフ達はここで働いていることを隠している人もいる。それは恥ずかしいとかではなくて、変に騒がれることが嫌だから。」
「騒がれる…?」
「トップヒーローのそばで働いているって知られたらそれを目的で近づいてくる人もいる。それは時に焦凍君にすら危険が及ぶことかもしれない。
私たちスタッフは焦凍君の手伝いをするためにここにいるから、足でまといにはなりたくないの。」
“焦凍君は、それだけ世間に影響力のあるヒーローになったってことだよ。”
つい頬を緩めながらそう呟けば、相手は少しだけ考えるように俯いてから頷く。
私が言ったことを理解した、という意味だろう。
「苗字さん!テレビ取材の人達が直接話し合いたいから責任者連れてこいとか言い出しましたぁっ…!」
「なっ…わかった!私行くから!」
「苗字、平気か?」
「大丈夫。それより焦凍君はSNSお願いね?コメントは何か一言付ければいいから。」
“ついでに今日はもう直帰する。明日は私が休みだけど何かあったらすぐ電話して。”
そう皆に伝えてから、私はテレビスタッフをコテンパンに言いくるめるため事務所を後にした。
…そう、後にしてしまった。
彼のド天然を、この時の私は甘く見ていたのだ。