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初恋の人
おなまえは?
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「・・・綺麗だ。」
思わず俺の口から溢れ出た言葉に、名前は恥ずかしそうに笑った。
その彼女を包む白いドレスは窓から入り込んだ陽の光に反射してキラキラと輝く。
この姿を、俺は何年も待ち望んだのだ。
「・・・焦凍?」
「あの時、勇気を出して良かった。」
「!あの時って、あの同級会?」
「あぁ。恋人のフリをして貰えるかどうかは俺にとっては賭けだったからな。」
“アメリカの男に取られちまうかと思った。”
そう言って彼女の頬に手を添えれば、相手はくすぐったそうに目を細める。
その無防備な姿に思わずキスを落とそうとすれば、その口は彼女の細い手によって遮られてしまった。
「これから式なのに、お化粧落ちちゃう。」
「・・・誓いのキスまで待てねぇ。」
「ダメ。」
“今日のキスは特別なんだから。” と笑う彼女の笑顔は出会った頃と変わらない、綺麗な笑顔。
ふと雄英高校に入ってすぐの体育祭を思い出す。
あの日・・・いつもは無気力な名前が見せた綺麗な笑顔に、俺は魅了されたのだ。
「あ、轟ー!」
「!・・・苗字?」
「緑谷との試合、熱かったね?」
「あぁ・・・。」
「・・・私さ、ずっと待ってたんだよね。」
「は・・・?」
「轟が炎使うの、待ってたの。エンデヴァーの炎も綺麗だけど、轟の炎はもっと綺麗だね。」
「!」
「私が死ぬ時は轟の炎で焼いてほしいわぁ。」
“て訳でお願いね!” と笑った彼女。
その笑顔が可愛くて、綺麗で、俺は人生で初めて人の笑顔に見惚れてしまったのだ。
「・・・苗字。」
「んー?」
「俺は、ヒーローになれると思うかっ・・・?」
「!・・・どうだろ?人生どう転ぶかなんて分からないし何とも言えないけど・・・私はなって欲しいよ、轟に。」
“カッコイイヒーローにさ!”
ニカッ・・・と笑った名前。
その瞬間、ただのクラスメイトだった彼女が・・・俺の初恋の人になった。
「なぁ、名前。」
「ん・・・?」
「俺より先に死ぬな。」
「!結婚式の日になに・・・?あ、職業病?」
「いや、わかんねぇ。」
「ふふっ、でもそれは約束出来ないかなぁ。私だってヒーローの端くれだし?」
「・・・・・・。」
「それに、死んだら焦凍の炎で火葬してもらうのが私の人生最後の夢だからね。」
そう言ってまるで悪戯っ子のように笑う名前に手を伸ばして抱きしめる。
分かっている。
お互いがヒーローである限り、俺たちの明日はいつも約束されているわけじゃない。
だけど、それでも願ってしまうんだ。
「・・・ずっと、一緒にいてくれ。」
「!・・・もちろん。二人を死が分かつまで。」
「これから皆の前で誓うんじゃなかったのか?」
「だって、私も誓いのキスまで待てなくなった。」
名前の手を取り、見つめ合う。
そして静かに目を閉じる彼女に、俺は願いを込めて優しくキスを落とした。
「「(永遠の愛を、君に。)」」
END
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