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初恋の人
おなまえは?
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お手洗いから出て部屋に戻ろうとすれば、部屋の前に学生時代より少しだけ大人びたエリートがいた。
皆が中でワーワー騒いでいる中、どうして部屋の外に立っているのだろうか。
そう思ってその顔を覗き込めば、相手は驚いたように目を見開いた。
「苗字。」
「どうしたの轟、こんなところで。」
「いや・・・お前を待ってた。」
「へ・・・?私?」
「あぁ。・・・実は頼みたい事があって・・・お前に。」
少しだけ視線を落として、また私を見て。
それから轟は意を決したように口を開いた。
「俺の、恋人のふりをしてほしい。」
「・・・・・・は?」
「にしてもさ、今時あるんだね?なんていうか・・・政略結婚?みたいなやつ。」
「あぁ・・・まぁな。今までも話はいくつか出てたんだ。親父が突っぱねてたみたいなんだが、今回のは難しかったらしい。」
「ふうん・・・。轟も大変だね?」
「・・・焦凍。」
「!・・・あ、うん。えと・・・焦凍・・・?」
「おう。」
私の声に反応してフワリと笑う轟・・・もとい、焦凍に随分と表情が柔らかくなったなと思う。
入学当初なんてその父親と揉めて色々と拗らせまくっていたのに・・・それも修復されてきたのだろう。
「あ、そうだ。・・・その親父もいる。」
「!え、エンデヴァーさん、が?」
「あぁ。俺が恋人を連れて行くって言ったら自分も行くって聞かなくて・・・断る理由もなかったから。」
“ダメだったか?” と首を傾げる焦凍にどうしたものかと眉を寄せる。
てっきり相手の女を騙すだけだと思っていたのに、あのエンデヴァーさんまで騙すつもりなのか・・・。
できるかな、私・・・。
「ていうかあれだ、色紙買ってきていい?私、実はエンデヴァーさんのファンなんだよね。」
「!・・・初耳だ。」
「まぁほら、オールマイト先生のこと崇拝してた緑谷とかいたし・・・焦凍の前で言うのもアレだったし?」
「アイツの・・・どこが好きなんだ?」
「んー・・・あの人、カッコイイじゃん。」
「!」
「ほらこう・・・野心の塊!って感じだし、それに・・・あの炎、綺麗じゃん。」
そう言ってヘラっ・・・と笑えば少しだけ驚いたように目を見開く焦凍。
それから少しだけ考えるように視線を動かしたあと、少しだけ頬を緩めて私の手をギュッと握り直した。
「・・・アイツも、喜ぶ。」
「そっか。」
「サインなら俺が後から貰っておく。それより、ここが待ち合わせの店だ。」
そう言って焦凍が立ち止まった店は明らかにお高そうなレストラン。
なるほど・・・綺麗めな格好をして来いって言われたのはこういう事だったのか・・・。
「・・・焦凍、私、大丈夫?」
「!何がだ・・・?」
「そりゃ、服装・・・とかっ・・・?」
「あぁ・・・別に、いつも通り綺麗だ。」
「!?(出たよド天然王子っ・・・。)」
呆れてため息を吐く私に、焦凍は不思議そうに首を傾げるものだから・・・コイツは罪作りな男だと心の中で呟いた。