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初恋の人
おなまえは?
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別に、学生時代からそこまで仲が良いという訳ではなかった。
雄英高校に入ってヒーローを目指していく中で、手を組む時もあれば拳を交えたこともある。
けどそれは他のクラスメイト皆にも当てはまることだったし、感情で動いてしまう性格もあって男性陣だったら彼よりも爆豪とか切島と過ごす時間のが多かった。
「(・・・のに、なんだこの状況・・・。)」
「苗字、平気か?」
「・・・ん、大丈夫っ・・・。」
「そうか。」
“なら行こう。” と私の手を取る彼・・・轟 焦凍は、いま巷で話題のプロヒーローだ。
雄英高校を卒業してそれぞれがサイドキックとして地道に経験を積んでいく中、コイツは父親の事務所にサイドキックとして入った事であっという間に注目の的となった。
まぁだからといって妬むなんて事はしないし、むしろプレッシャーなどもあるのだから大変だろうな・・・と同情をしているくらい。
「苗字・・・じゃなくて、名前が引き受けてくれてよかった。・・・正直どうしようかと思っていたんだ。」
「大変だね、人気者も・・・。」
「・・・いや、そんな事ない。良いこともある。」
そう言って微笑む轟に、相変わらず綺麗な顔してるなぁ・・・なんてのんきなことを考える。
顔よし、頭良し、家柄よし。
そして自身もプロヒーローとして着実に力をつけている彼に、恋人のふりをしてほしいと頼まれたのは先週の同級会の時だった。
《Plus ultraー!!!》
そんな懐かしい掛け声と共にグラスをガシャンっ・・・とぶつけてお酒を煽る。
雄英高校を卒業して早4年・・・それぞれがプロヒーローとして日々を生きている私たちが、こうして全員が揃ったのも卒業以来だった。
「名前ちゃん久しぶりやんー!!」
「お茶子ー!」
「ケロケロっ、名前ちゃんったらいつの間にアメリカから帰ってきていたのね?」
「梅雨ちゃんも!相変わらず可愛いねぇ2人とも!」
そう言って久しぶりに会う友人たちとハグをする。
本当は4年の間に何度か飲み会の誘いもあったのだが、私は雄英を卒業してアメリカに留学していたため皆に会うことは久しぶりだった。
「よぉ苗字っ!アメリカでスゲー話題になってたんだってなァ!」
「お、アホ面だ!」
「アホ面言うなよっ!!」
「でも聞いたぜっ?アメリカのプロヒーローと共同で事務所立ち上げるかもしれないンだろ!?」
「あー、あんなの嘘だよ!アッチってすぐ大袈裟に報道するからさぁ・・・日本はいいよね、カメラに追い回されなくて!」
“ゴシップ楽しむアメリカは好きじゃない!” と笑えば日本も似たようなもんだと笑う上鳴と切島。
そんな私に後ろからガシッと抱きついてきたのは雄英時代にもよくふざけ合った芦戸三奈で、その手にはアメリカのゴシップ誌が握られていた。
「ふっふーん!そんな事言ってー・・・じゃん!アメリカの資産家息子と若きジャパニーズヒーロー熱愛っ!」
《!!》
「うおっ・・・まじかっ!」
「英語だからなんて書いてあるか分かんねーけどバッチリ撮られてんじゃねぇか苗字っ!」
三奈の声に反応して集まってくる同級生達に違う違うと首を振る。
この資産家息子がヴィランに狙われてるというから少しの間ボディーガード代わりをしていただけだ。
それに、国際結婚なんて冗談じゃない。
「なら苗字君はもうアメリカには行かないのか?」
「せっかく有名になったのに、もったいなくねっ?」
「アメリカには経験積みに行っただけだし、ここからは日本でのんびりやらせてもらうよ。」
そう言ってグラスを置いて、私はお手洗いに行こうとその場を後にした。
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