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怪物さん。追
おなまえは?
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歩きながら焦凍は学校と家に電話をしていた。
学校には自宅に泊まると、自宅には用事があるから話を合わせてくれと。
泊まる、という所には驚いたけど…それくらい長くなることを見越してのことなんだろう。
「(それに…一緒にいられるのは嬉しい…。)」
「… 名前?」
「!…ごめんね、少しボーッとしてた。…それよりここだよ。」
「!…アパート、だよな?」
「そう、私の家。」
「!い、いいのか…?」
「うん。どうせあと2週間くらいで引っ越すし。」
“どうぞ。” と玄関を開ければ、焦凍は少しだけ躊躇ってから部屋の中へと入った。
チラリと外を確認しても怪しい動きはない…。
焦凍は本当に私の話を聞くために来たんだと思ったら、少しだけ心が軽くなった。
「物、少ねぇな…。」
「引っ越すからね。黒霧が居たら引っ越し楽なんだけど捕まっちゃったし。」
「!あのワープ野郎捕まったのか…。」
「知らなかった?…まぁ、そっか。ニュースで詳しくは言われてないもんね。」
とりあえずと冷たいお茶を出せば、焦凍は何の躊躇いもなく口をつける。
ヴィラン連合相手にこんな信頼しきっていていいのかと思いながらも、相変わらず変なところは真っ直ぐだと笑ってしまった。
「!…何か変だったか?」
「ううん。なんか、変わっちゃった気がしてたけど変わってない所もあるなぁって。」
「…それは俺も思った。部屋は違うけど家具は前に住んでた部屋と似てるから。」
「!そ、そーかな…結構悩んだんだけど…。」
“冒険すればよかったかな。” と部屋を見回して、確かにそうかもと眉を寄せる。
次に決める時はもっと冒険しよう。
そう思って羽織っていたカーディガンを脱げば、今まで優しい顔をしていた焦凍が初めて顔を曇らせた。
「…全部、アイツにやられたのか…。」
「!…あぁ、うん。しばらく癇癪治らなくて…でももう痛くないし平気だよ。」
そう言って笑って見せても、焦凍の顔は曇ったままで…薄着になって見え始めた傷を一つ一つ優しくなぞる。
首筋の時と同じ…自分の熱を移すみたいに優しく。
「あの日から…俺も悩んだ。自分の実力不足もある。それにお前が… 名前が辛そうにしてたのに、助けられなかった。」
「!…焦凍のせいじゃないよ。私がヴィランで、焦凍がヒーローだった。ただそれだけだよ。」
「いつから…なんだ。」
「…たぶん、生まれた時から。私は生まれた時から先生に育てられてて、死柄木弔と一緒に育ってきたの。雄英に入ったのも先生の命令。」
「!…俺の、ことも…か?」
「…うん。エンデヴァーの息子だから近づいた。…でもダメだね、近づく距離間違えた。」
“こんな気持ちになんてね。” と笑う。
まるで、貴方と私の出会いは間違っていたと…そう伝えるように。
「間違いじゃないってお前に分からせるために、俺はどうしたらいい?」
「!…わかんない。」
「…俺は、お前が大切だ。そんな半端な気持ちじゃねェって、だから俺だけを見てろって。」
「…うん。」
「… 名前、俺だけを見ろ。」
“ずっと。”
その言葉と、あの日の死柄木の言葉が重なる。
目の前に焦凍の顔が広がって、背中からギシッとスプリングの音がして、今はこの甘い彼に包まれたいと私はゆっくり目を閉じた。