↓↓
侵入者
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ガツガツとお弁当を食べていく爆豪君に苦笑いを漏らしながら自分もお弁当に手をつける。
結局、1-Aの学級委員長は3票を獲得した緑谷君に決まった。
副学級委員長は2票を獲得した推薦組の八百万さんになり、HRは終わったのだけど…。
「(爆豪君が不機嫌…!)」
まぁ昨日の今日だからまた緑谷君に負けた感があるのだろうけど…。
怒りながら勢いよくかき込んでいるそのお弁当…私のなんだよなぁ。
「あー…ば、爆豪君?」
「あ゙ぁ!?」
「お弁当…私の、なんだけど…。」
「知るか!テメェはそっち食っとけ!!」
「えええ…。」
爆豪君がさしたのは今日も爆豪君のお母さんが爆豪君のために作ったであろうお弁当。
しかも成長期の息子のために量も多い。
「た、食べ切れないよ?」
「誰が全部食えっつったんだよ!食える分だけ食え!!残りは俺が食うに決まってんだろ!!」
「え、あ、はい…!」
昨日のそうだったけど、爆豪君ってばお弁当交換にハマっているのだろうか?
それとも私に対する嫌がらせ?
まさかこんな美味しいお弁当を食べ飽きた、なんて言わないだろうし…。
「(うーん…不思議だ…。)」
「おい何ぼーっと考えーーー。」
“考え込んでんだ。” と爆豪君が言い終わる前に辺りに響いたサイレン音。
それに驚いて私たちが顔を見合わせれば、それと同時に校内全体にアナウンスが響き渡った。
“セキュリティ3が突破されました。生徒たちは速やかに屋外へと避難してください。”
「セキュリティ3…!?」
「チッ…おい行くぞクソ名前!」
「う、うん!」
お弁当を急いで片付けて中庭から出る。
セキュリティ3のことは分からないが屋外へ避難しろという事は異常事態を知らせているのだろう。
私たちは中庭だから既に屋外だけど、先生達がいる場所へと避難するのが得策だと爆豪君も判断したに違いない。
「(今日オールマイトさんが雄英教師になったって報道されたばっかりなのに…!)」
「付いてきてんな!?」
「うん!勿論ーー…!?」
先を走る爆豪君に続いて走りながらチラリと横に視線を移せば見えた黒い人影。
それに気がついて思わず立ち止まれば、その黒い人影がゆっくりとコチラを向いた気がした。
「ッ…!?」
「おい何しとんだッ!」
「ば、爆豪君っ…!あそこっ…!」
「あ゙ぁ!?」
私がついてきていないことに気がついた爆豪君が戻ってきて私の腕を掴む。
それに気がついた私が爆豪君に黒い人影について話そうと再びそちらを向いた時、その影はもうそこには存在していなかった。
「…っておい!なにもねーじゃねェかッ!」
「で、でも今あそこにっーーー。」
「いいから早く来いッ!!」
「あ、う、うん!」
その後に分かった事だが、学校内への侵入者の正体はオールマイトさんの取材をするために押しかけたマスコミだったらしい。
クラスメイト達からそんな話を聞いて、やっぱり私の見た人影は気の所為だったのだろうかと首を傾げる。
「(けど雄英高校って一般の人達が入ろうとしたら降りてくる雄英バリアがあるのに…。)」
一般人であるマスコミがそれを破って入ってくることなんて有り得るのだろうか?
そんなモヤモヤを抱えながら、緑谷君に譲ってもらった学級委員長の座を噛み締める飯田君を私はただ黙って見つめていた。