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戦闘訓練
おなまえは?
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モニターに映し出された2人の姿を見て、思わず自身の眉間に皺を寄せる。
緑谷君と麗日さんのヒーローチーム対、爆豪君と飯田くんのヴィランチームの戦い。
開始早々に爆豪君が飯田くんを放置して部屋を飛び出して緑谷君達に奇襲、からの乱闘。
対戦カードが発表された時点で既に嫌な予感はしていたが、まさか爆豪君がここまで暴走するとは思わなかった。
「なァ先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだ!殺しちまうぜ!?」
「いやっ…。」
爆豪君の篭手から噴出した爆発の影響で未だモニターのあちこちに煙が漂う。
彼の個性は掌の汗腺からニトロのようなものを出して爆発させるものだったはずだ。
なのになぜわざわざ篭手なのだろう、なんて考えてはいたけど…まさか遠距離攻撃を考えた上での篭手だったとは…。
「(本当に…戦闘センスにおいてはムカつくぐらい優秀なんだよな、爆豪君って…)」
「ね、ねぇヤバくない!?爆豪のやつ本当に殺しちゃうんじゃない!?」
「!…大丈夫だよ三奈ちゃん。」
「え…?」
「爆豪君って確かに逆上タイプだけど、頭の中はクールなこと多いから。さっきの攻撃もわざと外したんだと思う。」
それに、本当にヤバいならオールマイトさんが既に訓練を中止しているはずだ。
彼らの声はオールマイトさんにしか聞こえていないし、オールマイトさんがマイクで何かを伝えた後から爆豪君の戦い方が肉弾戦に変わっている。
つまり…彼自身、本気で周りが見えなくなっている訳では無いということだ。
「今の…目眩ましを兼ねた爆破で軌道変更、そして即座にもう一回…考えるタイプには見えねェが意外と繊細だな。」
「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね。」
「才能マンだ…才能マン、ヤダヤダ…。」
肉弾戦へと変化した爆豪君と緑谷君のやり取りを見て轟君や八百万さんが言葉を漏らす。
さすがは推薦組は観点が違うな、なんて感心してしまうものの私としては見ていてあまり気持ちの良い戦いではない。
2人とも大事な友人だし、それに…。
「(攻めてる側なのに、爆豪くんの顔がなんか…すごい辛そうなのが気になる…。)」
「リンチだよコレ!テープを巻きつければ捕らえたことになるのに!!」
「ヒーローの所業に非ず…。」
「緑谷もすげぇって思ったけどよ…戦闘能力において爆豪は間違いなくセンスの塊だぜ…!」
何かを叫ぶ爆豪君の顔が苦しそうに歪められる。
きっとこれは私が干渉しないと決めた、彼らの個人的なナニかの続きなのだろう。
だからこそ私も、他の皆にも理解が出来ない。
でもこのまま戦い続けたら、いつか爆豪君の中から大事なものが抜け落ちてしまう気がする…。
「っ…オールマイトさん、」
「!…大丈夫、いざとなったらすぐに止めるさ。安心したまえ、苗字少女。」
根拠の無い不安につい駆け寄った私の頭を撫でたオールマイトさんがニコリと笑う。
この人がそう言うなら大丈夫なのだろう。
そう思うのに、私の胸あたりに感じる痛みは2人の決着が着くその時まで消える事はなかった。