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思っていたのと違った
おなまえは?
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「オールマイト…?」
「うん!オールマイトはすごいんだよ!」
「どれくらい?」
「え?」
「どれくらいすごいの?」
「え、えっとね…かっちゃんよりすごい!」
「え!かっちゃんよりすごいの!?」
「うん!」
「オールマイトすごーい!!」
なんてこったと目を見開けば、まるで自分の事のように胸を張る1つ年下の幼馴染。
その頃は私も彼も、もう1人の幼馴染であるかっちゃんが強さの基準だった。
つまりかっちゃんより強い、というのは私達の中で異次元の強さを表すわけで。
「オールマイトすごいねぇ!」
「うん!オールマイトすっごいんだよ!」
「オールマイトがいれば私もデクも安心だね!」
「うん!」
「でもオールマイトが来れない時は私がデクを守ってあげるからね!」
「ぼ、僕も!僕も名前ちゃんのこと守る!」
「本当に?」
「うん!」
「分かった!じゃあ困った時は大きな声でデクのこと呼ぶからね!」
“助けに来てね!”
なんて指切りをして笑った。
あれから十数年…。
幼馴染である彼は立派なヒーローになった。
「苗字ー。」
「はーい。」
「これ、リテイクだってさ。」
「げっ…。」
「もっと新鮮なアイディア出せって言っただろうがって部長が茹でダコみたいになってたぞ。」
「新鮮なアイディア、ね…。」
出したら出したで奇抜すぎるって文句言うくせに。
なんて言葉を飲み込んで上司から自分が丹精込めて仕上げた企画書を受け取る。
広告代理店に勤め始めて早数年…。
忙しいけど充実してる、なんて言葉も出ないくらい多忙な毎日の中ですり減っていく体力と若さと精神力。
「(恋愛なんて二の次だって流し続け過ぎてこのまま孤独死する未来しか見えない…。)」
「お、またヴィラン捕まったって。」
「へぇ、誰が捕まえたんだ?」
「んー…と、あぁデクだってさ。」
「!」
少し離れた場所から突如聞こえた懐かしい名前に思わず肩が跳ねる。
デク、なんて呼びかた私とかっちゃん以外はしなかったのに…と眉を下げて自分の携帯を取り出した。
「(ひったくり犯を僅か1分で捕らえたヒーローデクに賞賛の拍手が送られた…。)」
「…まぁたヒーローニュース見てんのか。」
「別にいいじゃないですか。趣味なんです。」
「とか言うわりに、ヒーローニュース見てる時のお前の顔いつも不愉快そうだぞ。」
「!…そんなことーーー。」
「ある。から早くソレしまってリテイクしてこい。期日まであと3日だぞ。」
そう言ってさっさと離れていく上司に息を吐く。
リテイクってだけでも不愉快なのに最後に嫌味まで付け加えていきやがって…。
なんて思いながら私は仕方なく自分の携帯をポケットへと沈ませた。
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