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嫌よ嫌よも
おなまえは?
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私には嫌いな奴がいる。
いきなりそんな事を言っても、それがどうしたって話した人には思われる。
だけど、私はソイツの事が嫌いで、嫌いで、大っ嫌いなのだ。
「へェ…で?」
「で?…じゃなくて、どんな奴なの?どうしてそんなに嫌いなの?とか聞いてくれないんですか?」
「う、うーん…だって苗字君の嫌いな人ってアレでしょ?…イレイザーヘッド君。」
“今、職場の同僚だからさぁ。”となんとも気まずそうに眉を下げるオールマイトに、今度は私がだからどうしたと言ってやりたい。
というかアイツ、ここしばらく現場に姿見せないと思ってたら学校の先生なんかになってたのか。
「苗字君ってずっと警視庁勤めでしょ?彼と直接の接点とかあったりした訳?」
「ありまくりです。あの人の個性ってズル賢い感じじゃないですか。だからオールマイトさんみたいに最前線で戦うっていうより警察の捜査に協力することの方が多いんですよ。」
「あー…確かに、あの個性はズルいよねぇ。」
「だから新米の時から何度も現場で一緒してた訳なんですけど…あの野郎とにかくひたすら嫌味しか言われなくて。」
“思い出したら腹立ってきたっ…!”と眉を寄せればオールマイトさんは苦笑いを漏らす。
相変わらず戦闘の時以外は優しいオジサマだと思う反面、この人とイレイザーヘッドは上手くやってるのだろうかという疑問も出てきた。
「例えばどんな事を言われたの?」
「…聞きます?例をあげ始めたらあと1時間くらいかかりますよ?」
「う、うーん…オジサンでもさすがにそんなには聞けないかなぁ。」
「ていうか学校の先生とか出来るんですかあの人、嫌味しか言わないのに。生徒ボロクソに言われ過ぎて病みません?」
「病みはしないけど困惑してる時はあるよね、ほら不器用な所あるしね、彼。」
「不器用で済ます辺りオールマイトさんは優しいですよ。」
そう言って溜め息をつけば耳に付けていた通信機がザザッ…と鳴る。
作戦開始時間まであと少し。
「でもさ、彼は彼なりに生徒の事を大切に思ってるんだよ。」
「…でしょうね。」
「!アレだね、苗字君のそれって嫌よ嫌よも何とやらってやつだよ。」
「オールマイトさん。」
「え、なに?」
「…寝言は寝て言って下さい。」
「えっ!?オジサン間違った!?!?」
そう言ってアワアワッ…とするオールマイトにクスクスと笑う。
おかげで今からの大一番も気負わずに指揮を取れそうだ。
「苗字課長、そろそろ雄英の会見が終わります。」
「!…わかった。じゃあオールマイトさん、それぞれベストを尽くしましょうね。」
「あぁ、あんまり無理はしないようにね。」
「それはコチラのセリフです。…御武運を。」
私の肩を叩くオールマイトさんにそう告げて、目標となる建物の前に戻る。
と同時に再び耳の通信機が鳴り、雄英の記者会見が終わったと情報が入った。
いよいよ、始まるのだ。
「各自配置へ。…これより、ヴィラン連合アジト及び脳無格納庫への同時制圧作戦を開始致します。」
こうして立派に働いている姿を、あの嫌味野郎に見せてやりたいよ本当に。
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