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あの時その手を掴めたら
おなまえは?
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目の前で崩れ落ちていく椅子を、ただ見つめる。
自分の親代わりだった先生を失ってから数日・・・
私たちヴィラン連合のリーダーである死柄木弔の機嫌は悪くなるばかりだった。
「お前の兄貴物壊しすぎじゃね?いい加減壊す物も無くなってきてんだけど。」
「死柄木は私の兄じゃないって何回言えば分かるのかな、荼毘くんは。」
「でも一緒に育ったんだろ?」
「まぁ・・・。」
「なら兄貴じゃねーか。」
そう言って自分のポケットに手を突っ込む荼毘を横目に思わず息を吐く。
あーぁ・・・せっかく手に入れたと思ったのに。
日本の警察・・・と、プロヒーローって奴らは案外手強かったみたいだ。
「まさかあの場所がバレているとはね。」
「本当だよ。あんなにプロヒーロー連れてこられて、コッチの分が悪すぎる。」
「で、お前はお気に入りだったアイツを奪われてイライラしてるんだろ?」
「!」
「あぁ・・・彼か。たしかに・・・名前さんは随分と気に入っていたみたいだし、一緒に連れて来れなくて落ち込んでるんだね。」
Mr. の言葉に言葉にコクリと頷いて、また息を吐く。
死柄木とは違う、鮮やかに光る赤い瞳は私の心を掴んで離さなかった。
・・・爆豪 勝己。
私が生まれて初めて心奪われた彼には、神野区での乱闘に紛れて逃げられてしまったのだ。
せっかく変な森の中にまで行って捕まえたのに。
「会いたいなぁ・・・。」
「まるで恋する乙女だね。」
「名前ちゃんの恋するお顔可愛いデス!」
「あはは、嬉しいけど興奮したまま私のこと刺そうとか思わないでねトガちゃん。」
“これ以上仲間が減るのはよろしくない。” とその手からナイフを奪えば不服そうに眉を下げるトガちゃん。
それを見て荼毘は呆れているが、彼女の個性はきっとこれからも役に立つ。
こんな所で失うのはおしいのだ。
「・・・初恋、なのにな。」
「は・・・?さすがに鳥肌立つからやめろ。」
「荼毘いつか殺す。」
「出来るならドーゾ。」
「はいはい、喧嘩しないの!アンタ達は本当に喧嘩っ早くて困るわぁ!」
ズリズリ・・・とマグ姉に身体を引きずられ荼毘との間に距離ができる。
私が本気を出せばここにいる皆、すぐ殺せる。
なのにそうしようと思わないのは、ヴィラン同士の友情・・・ではなく、今後の活動のためだ。
死柄木弔はここで終わるような奴じゃない。
なら、私が力を貸してあげなきゃいけないだろう。
「(だから私を作ったんですよね、先生・・・。)」
なんて心の中で呟いてみても、ここにいないアノ人から答えが帰ってくる訳じゃないのに。
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