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HAPPY HALLOWEEN
おなまえは?
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(澤村大地 × 同級生幼馴染の場合)
「あ、大地みっけ!」
「名前?」
「大地、Trick or Treat!」
そう言ってドヤ顔をする名前が可愛くて、ついそのサラサラの髪を撫でる。
毎年のように繰り返される名前とのこのやり取りには俺も慣れたもので、この日だけは俺のカバンの中がお菓子の甘い匂いでいっぱいになる。
「ほら、今年はチョコ菓子な。」
「やったー!ありがとう大地!」
「食ったらちゃんと歯磨けよ?」
「いやいや、もう私たち高校3年生だよ?そんなの言われなくても分かってるよー!」
「の割に虫歯が出来たって騒いでたろ、先々月。」
「くっ…相変わらず記憶力いいな…!!」
俺の言葉にグッと眉を寄せて唇を尖らせる名前。
小学校、中学校、高校と当たり前のように隣にいた彼女と違う進路に向かう。
それがもう数ヶ月先にまで迫っていると思うと自分の不甲斐なさに嫌気がさしてきた。
「(いつも旭にヘタレだ何だって言ってるくせに、自分の事となるとどうもなァ…。)」
「そういえばさ、私に何か言う事あるんじゃない?」
「は…?」
「だから、私に言わなきゃいけない事あるでしょ?」
俺があげたばかりのチョコ菓子を口に含みながらそんな事を言ってくる名前に思わず口吃る。
まさか、心の中で呟いたつもりだった気持ちが全部口に出ていたのだろうか?
そこまで考えてから彼女を横目で盗み見れば、そのキラキラした瞳が俺の顔をジッと見上げていた。
「ッ……いや待て名前!せめて俺の春高が終わるまでは待っててくれッ…!」
「え…春高って…終わるのっていつ…?」
「1月ッ…。」
「1月……って遠ッ!!」
“いやいや遠すぎない!?” と何故か笑い始めた名前にやはり自分勝手過ぎるお願いだっただろうかと肩を落とす。
あぁ、やべぇ。
これ精神的にかなりクる。
やっぱり俺なんかを待っていて欲しいなんて、そんな馬鹿みたいなお願いを聞いてくれるはずない。
「…だ、だよな。遅すぎるよな。」
「遅過ぎだよー!1月まで待ってたら買ってきたお菓子の賞味期限切れちゃうじゃん!」
「そうだよな、賞味期限がーー……は?」
「あ、でも飴とかなら大丈夫かな?」
“でもお腹空いちゃったら春高終わる前に自分で食べちゃうかもしれない!”
そう言ってケラケラと笑う名前に俺の働いていなかった思考回路がゆっくりと動き始める。
いや、そうだよな。
普通に考えたら心の中で思ったことを口に出してしまったら自分でも分かるだろうし。
何年も俺の気持ちに気づかないコイツがこんな普通の会話の中で何かを察せられるわけが無い。
「あー…名前。」
「ん?」
「俺が言い忘れてる事って、もしかしてさっき名前が俺に言ったやつ…?」
「うん、そーだよ?でも大地がそんなに春高終わるまで待って欲しいって言うなら待つけど…。」
「あー…いや、いい。待たなくていいから。」
“だから俺用に買ったお菓子くれ。” と手を出せば名前がカバンから取り出したお菓子を乗せてくれる。
それからお菓子が無駄にならなくて良かった、と笑う幼馴染を見て自分の暴走具合に恥ずかしさが込み上げてきた。
「なぁ、名前。」
「ん、なにー?」
「もし俺がさ、本当に春高終わるまで待ってて欲しいって言ったらどうする?」
「えー…どうするって言われても、そりゃ待つよ?」
「…そっか。」
「あ、でも結局お菓子は今あげたから春高終わってもう1回言ってもあげないからね!」
わざとらしく人差し指を立てて言い張る彼女に笑って頷けば、相手も満足したように笑う。
それから自分たちの教室へと向かおうを足を動かしながら春高が終わったら彼女に自分の気持ちを伝えようと心に誓った。
「(だからそれまで、待っててくれよ。)」
HAPPY HALLOWEEN 澤村大地ver.
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