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主人は何を想う
おなまえは?
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広い広い草原に、ポツンと佇む赤い鳥居。
ここ数日、毎日のように訪れているこの場所は私の精神世界というやつだ。
「…玉藻前?」
毎日毎日…こうして斬魄刀に呼びかけては爽やかな風が私の頬を撫でる。
この繰り返し。
斬魄刀の具現化した姿が現れる、なんて聞いていた私は毎日やるせない気持ちになる。
あの時聞こえた声も、聞こえない。
「はぁっ…。」
パタンっ…と倒れ込めば土と草が発する独特な匂いがして頬が緩む。
いい匂いだ。
そう私が考えれば風がフワフワと草を揺らした。
ここは居心地が良い。
気にしなきゃいけない視線もないし、ザワザワとうるさい人の声も聞こえない。
精神世界とは持ち主が望む形に姿を変える…なんて噂も、あながち間違いでは無いのかもしれない。
「さてはて…どうすっかねぇ…。」
名前を呼べば風が吹く。
私が喜んでも風が吹く。
つまりこの世界に私の斬魄刀である玉藻前がいるのは間違いなくて、今も私の姿をどこかで見ているということだ。
のに、姿は見せない。
その理由が私には分からなかった。
パチリと目を開ければ、隣に座っていた藍染が読んでいた書物をパタンと閉じる。
ただ隣にいるだけなら帰ればいいのに。
そんな私の疑問に首を振ったのは藍染自身だった。
「おはよう。」
「ん。」
「…今日もダメだったかい?」
「ん…風は吹くんだけどさぁ…。」
多分だけど、今は始解をしようと名前を呼んでも応えてくれないだろう。
それは私を持ち主として認めていないからだ…なんて心の中で呟いて、また自己嫌悪に陥る。
そんなことを毎日繰り返す私に、藍染は何も言わず付き合ってくれていた。
「そういえば虚に壊されたあの御茶屋さん、建て直して営業再開したらしいよ。」
「え、そうなの?」
「あぁ。」
「…また襲われたら、とか考えないのかね?」
「元々あそこら辺の治安は良い方だからね、この前が例外だっただけだよ。」
「そりゃそうだけどさぁ…。」
「…怖い?」
「は?」
「怖い、って苗字の顔に書いてあるよ。」
そう言って肩をすくめる藍染に口どもる。
怖いか怖くないかと聞かれたら、そりゃあ怖いに決まっているじゃないか。
あの場所で私達は死にかけたんだから。
「苗字は大胆に見えて意外と繊細だね。」
「…なんか、馬鹿にされてる?」
「あと、僕に対してだけ常に喧嘩腰だ。」
「それはお互い様じゃない?」
「僕のは愛情の裏返しだよ。」
「物は言いようだな、おい。」
呆れたようにそう呟けば、藍染はそんな事ないだろうとその綺麗な目を細めた。
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