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その感情が来る場所は
おなまえは?
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ある日のお昼休み。
いつものように食堂に向かおうとした先で面白い場面に出くわした。
中庭の木の下で向かい合う男女。
どうやらそれは甘酸っぱい告白現場。
「(…ていうか藍染じゃん…。)」
霊圧を極限まで抑えてコソコソと茂みに隠れる。
隠密関係の人と知り合いな私の特技の一つが盗み聞きだったりする訳だけど、そんなことを藍染に話した記憶はない。
つまり、バレない。
ニヤニヤと緩まる頬を抑えつつ更に近づく。
私を女除けとして傍においても、こうして時折呼び出されている藍染に感心したのはもう何度目だろうか。
「あの、急に呼び出してごめんねっ…?」
「大丈夫、それよりも話って何かな?」
「あ、あのっ…そのっ…!」
「……。」
「っ…あ、のっ…。」
「ゆっくりでも大丈夫だよ。」
そう言って微笑む藍染に相手の頬が赤く染る。
藍染のことだ。
この女子が自分に何を伝えたいのかぐらい察しがついているのだろう。
それでも相手が言えるまで待つ、というのは彼なりの優しさだと前に話していた気がする。
「っ…す、好きですっ…!誰にでも優しくて素敵な人だなってずっとっ…!」
「…ありがとう。」
「苗字さんとお付き合いしてるのは知ってるのっ!だけど諦めきれなくてっ…!」
「(え、私の名前ここで出しちゃう…?)」
「苗字さんじゃなくてっ私が藍染君を笑顔にしてあげたいんですっ…!」
お願いします、と頭を下げる女子に私の頬がヒクヒクと引き攣る。
勝手に名前出されただけでも腹立たしいのに…あの子、私に勝つ気でいない?
え、本気?
やりあう?拳で?
喧嘩なら勿論買いますけど?
「ありがとう、その気持ちはすごく嬉しいよ。」
「!じゃあーーーー。」
「だけど、すまない。僕の特別は彼女だけなんだ。」
「あっ…そう、ですよねっ…。」
「勇気を出して声をかけてくれてありがとう。これからもお互い良い死神になれるよう頑張ろう。」
そう言って俯く彼女の手を優しく握る藍染に、呆れて息を吐く。
告白を断っておいてそれはないだろう。
無駄な期待を持たせるほど残酷なものは無い。
「…なんて、私が言えた義理じゃないか。」
藍染に手を握られ嬉しそうに笑う女子に成仏しろよ、なんて思いながら立ち去る。
そういえば今日の日替わりは鯖の塩焼きだった気がするし、早いとこ食事を済ませよう。
そんなことを思いながら私はフラフラと食堂に向かって足を動かした。
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