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手のひらの上で踊る
おなまえは?
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「…どうやら問題は無さそうですね。」
そう言って離れるザエルアポロに頷いて座っていた椅子から立ち上がろうと腰を上げる。
と同時に目の前に伸びてきた手が私の肩に触れて、そのまま再び椅子へと戻らされた。
「…調整は終わったんじゃないの?」
「終わりましたよ。ですが…せっかくお姫様と2人きりになれたので世間話でもしようかと。」
「世間話、ね…。」
「今お茶を入れますから。」
再び椅子に座った私を見てニコリと笑ったザエルアポロが少し離れた机でお茶を用意し始める。
どうやら私の意見を聞くつもりはなさそうだ。
そう思ったらわざわざ反論するのも面倒になり、その変に柔らかい椅子へと腰を掛け直した。
「お姫様は藍染様と同じ死神だとお聞きしました。」
「そうだけど…そのお姫様ってやめてくれる?」
「!これはこれは…大変失礼いたしました。それでは…名前様とお呼びしても?」
「あー…うん、もうそれでいいよ。」
「では名前様、話を戻しますが…僕は昔から死神というものにとても興味があるんです。ですが僕は虚、死神は天敵です。」
「…つまり、何が言いたいの?」
「やはり察しが良くて助かります。…僕の望みは一つ、貴方の身体を調べさせて頂きたいのです。」
「!」
「もちろん一切傷はつけません。ですから僕の研究の手助けをすると思ってぜひ…。」
“お願い出来ませんか?” と私の前に片膝をつくザエルアポロに思わず眉間のシワが寄る。
この手のマッドサイエンティストは笑顔を貼りつけたまま平気で嘘をつく。
恐らくだが、科学者という生き物はそういうものなのだろう。
瀞霊廷のあの変人科学者も、現世にいる天才科学者である幼なじみも…そしてきっとこのザエルアポロ・グランツという破面も。
「(胡散臭くて仕方ない…。)」
「名前様…?」
「…私のメリットは?」
「!」
「私がその研究に協力するメリットはあるの?」
「…僕の研究は全て藍染様の為にあります。それだけでは、足りませんか?」
「……。」
先程よりも少し細めた瞳が私を見つめる。
私の変化を一瞬も逃すまいと鋭く刺さる視線はそれは私の真意を探り当てようとしているようだ。
破面の中で、私という存在は異質だ。
おそらく今、誰もが私という存在を見定めている最中で…それはこの男も例外ではない。
そしてこの男はそんな私をあわよくば都合よく使ってやろうとか考えているのだろう。
ウルキオラよりも扱いやすい、とか思っていたけどそれは私の計算違いだったようだ。
やはり破面は厄介でしかない。
…が、おかげで私にも良い風が吹いてきそうだ。
「ザエルアポロ・グランツ。」
「!…はい、なんでしょう?」
「それなら、私と取引をしようか。」
“貴方の研究と…私の望みのために。”
そう言ってニッコリと微笑めば、ザエルアポロの眉が再びピクリと動いてみせた。
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