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守りきれなかったもの
おなまえは?
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キィンッ…と耳鳴りに近い音とともに頭の中に直接響き始めた声に私たちの足が止まる。
おそらく縛道の天挺空羅だろう。
その見知らぬ声が話す内容に耳を傾けながら、連名で出された懐かしい名前に眉を寄せた。
「…本当なのか、今の。」
「敵の罠ってことも考えられるぜ?」
「…いや、どうやら本当のようだ。感じないのか黒崎、この上に現れた霊圧を。」
「!…ルキアッ…?」
その瞬間、肩を支えてくれていたチャドの手を振り切って元来た階段を駆け上がっていく一護に思わず小さく舌打ちを零す。
あの惣右介が少し起きたイレギュラー如きで諦めるわけなかった。
それを知っていたのに、双極に残らなかった自分の判断の甘さに苛立ちが募る。
いざという時のつめが甘い。
死神時代、何度も惣右介に言われた言葉だった。
「ま、待って黒崎くん…!!」
「名前さん黒崎がまた1人でッ…!」
「ッ…分かってる!!」
ダンっ…と思いっきり地面を蹴る。
幸い私たちがいるのは双極に登るための階段だ。
急げば事が起きる前に間に合う。
「(お願いだから間に合ってッ…!!)」
なまり気味の足を必死に動かして、私はその霊圧がいる双極の丘を目指した。
丘にたどり着いて1番に目に入ったのは綺麗な赤色が飛び散る光景だった。
「…なん、でッ……、」
「ぐッ…!?」
「おや…腰から下を切り離したつもりだったが少し浅かったようだね。」
そう言って口角を上げる惣右介と、血を吹き出しながら倒れていく一護の身体。
あまりの衝撃で固まった身体に動けと命令しても、指1本動かないことにポトリ…と涙が零れた。
「…あぁ、名前。あまりに到着が遅いから心配していたんだよ。」
「ッ……惣右介ッ…!!」
一護から離れて、そのままルキアちゃんを抱えた阿散井君の背中を斬りつける惣右介に思いっきり刀を振り下ろす。
あまりに短絡的。
自分でもそう思う攻撃をあの藍染惣右介が受けるはずもなく、それは簡単に躱されてしまった。
「くそッ……!」
「ダメだよ、名前。いつからそんな甘い攻撃をするようになったんだい?」
「昨日した約束と違うッ…!一護達は殺さないって約束しただろうがッ…!」
「名前がなかなか来なかったからね、つい手をかけてしまった。それに…彼のことを随分と気に入ってるようだったから。」
「!!」
“ 恋人の浮気は許さない主義なんだ。” と呟く惣右介に一護達の目が見開かれる。
そのわざとらしい言い方は私が彼らの味方であると思わせるための言葉なのだろう。
だからコイツとの口喧嘩は嫌いなのだ。
私が勝てる見込みなんて、出会った頃から1度もないのだから。
「名前さッ…?」
「!…一護は黙ってて。そのまま…織姫ちゃんが来るまでそこで大人しくしてるように。」
「なに、いってッ…!」
「師匠命令。」
一護の弱々しい声に、ようやく頭にのぼった血が落ちてくる。
阿散井君と一護は動けない。
阿散井君のそばにいるルキアちゃんも自力で逃げることは不可能に近いだろう。
となると相手は3人、いずれも隊長格。
「まさか3人相手に戦うつもりかい?」
「いくら名前さんでもそら無謀やない?」
「…やってみないと分からないでしょ。」
“卍解、するから。”
私がそう呟いた瞬間、惣右介の目が少しだけ見開かれキラリと光ったのが見えた。
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