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重なった手の平
おなまえは?
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目を覚ませば何もない天井が見えた。
ここはどこだろうか。
寝起きの頭で考えながら起き上がり、自分に掛けられていた花柄の着流しを見て自分の現状を思い出した。
「(春水さんと十四郎さんと話してて…泣き疲れて寝ちゃったのか…。)」
本当に子供みたいだと自分でも呆れつつベッドから立ち上がれば、足首に感じる違和感。
チラリと視線だけ動かして、そこに付いている拘束具に驚いて目を見開いた。
まさかこんなものを付けられるなんて。
「(やっぱり怒ってるのかな…。)」
「あれ、もう起きたんや?」
「え…?」
「あの薬ならあと2.3日は目覚めないって聞いてたんやけど…こりゃ藍染隊長に叱られてまうわ。」
そんな軽口を叩きながら近づいてくるその人の髪の毛が月の光に照らされてキラリと光る。
十四郎さんと同じ色素の薄い髪の毛なのに、その持ち主は彼に似ても似つかない。
あぁ、最悪な展開だ。
「あ、驚いとるん?」
「いちまるッ……!?」
「ギン、って呼んでくれへんの?」
“昔みたいに。” と口角を上げるソイツに思わず腰元へ手を伸ばすものの、その手は空を切る。
玉藻前は取られたまま…。
周りを見回してもそれらしきモノはないし、足の拘束具も一筋縄ではいかなそうだ。
「(油断した…!)」
現状をあらかた把握して舌打ちを零せば、それを見ていた市丸ギンが私の前に来てニコリと笑う。
それだけで私の全身に悪寒が走り、思わずその頬を引き攣らせてしまった。
「八番隊隊長さん達が名前さんを匿っとるから藍染隊長が不機嫌になってしもてなァ。」
「!…藍染惣右介は死んだって聞いたけど?」
「嫌やなァ…もう分かっとるくせに。」
「ッ…。」
「生きとるよ。それとも…ホンマに死んでた方が名前さん的には良かった?」
まるで動揺する私を面白がるように続けられる言葉にギリッと奥歯を噛み締める。
ここで怒ってはコイツの思うツボだ。
そう頭では分かっているのに震える手を押さえ込むことは出来なかった。
「相変わらず分かりやすい人や。」
「ッ…。」
「これでも同情しとるんやで?あないな人に愛されたばっかりに、名前さんは大切なモノ全部無くしていくんやから。」
「!なに、言ってッ…?」
「なんや、まだ知らんねや?名前さんの家族、みーんな殺されちゃったこと。」
「!!」
「藍染隊長は独占欲強いタイプなんやろね。名前さんがいなくなった事が分かってすぐ苗字家のお屋敷に乗り込んでいってなァ…。」
“何もしらんと過ごしてたお母さんの首、スパッと斬り落としとったで?”
市丸のその言葉にグラリと視界が揺れる。
こみ上げてくる吐き気を抑えようと口に手を当て、歪む視界に目を閉じた。
「ッ…母様ッ……!」
大嫌いだと思っていた母親の死が、私のギリギリで張りつめていたソレを引きちぎった。
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